Reports of a giant glowing ball lighting the sky over Salekhard, the Yamal peninsula https://t.co/yhhb05mx7Y pic.twitter.com/5Fd2cagPpH
— The Siberian Times (@siberian_times) 2017年10月27日
10月26日夜、ロシアの上空で「光の球体」が目撃された。幸いなことに、エイリアンの侵略ではないことが判明した。
原因は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験だ。ミサイルの発射が、シベリア北部において巨大な光る球体を出現させた。当時、北極圏ではうっとりするほど美しいオーロラのショーが始まっていた。辺りにはオーロラに魅せられ、写真を撮ろうとカメラを手にした大勢の人が集まっていた。(参考記事:「オーロラから聞こえる謎の音の正体を解明」)
光の球体は、そのちょうど800キロ南方で、暗い夜空をバックに浮かび上がった。
「この世の終わりだと思ったね」
「球体の正体は、ミサイルの発射実験です」と説明するのは、米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの天体物理学者、ジョナサン・マクダウェル氏。「4発の弾道ミサイルが打ち上げられましたが、人々が見たのは、そのうちの1発です。目撃されたものの正体がミサイルの試射であることは、間違いありません」(参考記事:「廃墟?遺産?ソ連のスペースシャトルが再び脚光」)
目撃者が地元紙シベリアン・タイムズに語った話によると、球体は現れた当初、固そうに見えたが、徐々に膨張し、最後に霧散してしまったという。
「タバコを吸いに外に出たんだけど、この世の終わりだと思ったね」と、目撃者のヴァシリー・ズブコブ氏は話す。これと似た恐怖を感じた、とソーシャルメディアに書き込んだ人は多い。(参考記事:「恐怖の瞬間! お化け屋敷でとらえた驚愕の表情 写真16点」)
ロシア国防省は、ロシアのタス通信に対し、大陸間弾道ミサイル「トーポリ」を、プレセツク宇宙基地から極東カムチャツカ半島の試験場に向けて1発発射したと認めた。トーポリは核弾頭を搭載することができるが、今回の試射では搭載していないと報じられている。(参考記事:「銀板写真で「核の記憶」を追う」)
ロシア連邦軍は、このような戦略的な演習を例年行っている。2009年の試射では、その失敗した痕跡がノルウェー全土で目撃され、今回以上に奇妙な光景が披露された。目撃者の話では、渦巻き状の光が徐々に広がり、最後には消失してしまったという。ネット上で諸説が飛び交ったが、後日になって国防省が、ロケットの誤作動が原因だと認めた。(参考記事:「観光地となった核時代の遺産」)
それなら、今回の発射がこれほど目撃者を困惑させたのはなぜだろう?
マクダウェル氏によると、今回のようなものが空中に広がる光景に見慣れていないからだという。
「大気があると、物体は形が乱れます。一方、宇宙空間には崩れる原因となる大気が(あまり)ないので、地上で見慣れている光景とは違い、均整が取れ、正確な形状を描きます」。彼はそう説明しながら、このような現象を引き起こすほど高い位置までミサイルが飛んだことを指摘する。
「とりわけロケットの噴射ガスは、直径数十から数百キロにおよぶ巨大な泡のように広がります。そこへ太陽の光が当たると、泡が目に見える場合もあります」(太陽は地平線の下に沈んでいるが、高く飛ぶミサイルからは太陽が見える)
私たちが見慣れているのは、噴射したガスがもくもくと広がり、散っていく光景だと、マクダウェル氏は説明する。「ですから、大気の薄い宇宙空間で起こった現象を見ると、私たちには訳がわからなくなってしまうのです」(参考記事:「シベリアで巨大クレーター続々、成因に新説」)