結局、2016年の手術では腫れの一部を切除したが、その後、ニャン・フトゥーの舌はふたたび悪化してしまった。

 野生動物の手術を行うチーム「国際野生動物外科手術」のロマン・ピッツィ氏やミャンマーの獣医師たちの協力を得て、獣医師たちは2017年10月初旬にニャン・フトゥーの舌の切除手術に踏み切った。舌の重さは3kgほどもあり、手術は4時間におよんだ。

象皮病の可能性も

 ニャン・フトゥーの舌が肥大した原因はまだ「ちょっとしたミステリー」だとベーコン氏は言う。先天的な病気のせいかもしれないが、カン・フトゥーの方は「完全に正常」だという。

 獣医師たちは象皮病の可能性も考えている。象皮病はフィラリアの寄生によって起こる病気で、手足が極端に肥大することがあるからだ。(参考記事:「女性の頭から生きたゴキブリを摘出、インド」

 象皮病は東南アジアの人々に多い病気だが、クマでは報告されていない。切除された舌のサンプルは、検査機関に送られた。(参考記事:「感染症研究が切り開いた睡眠科学」

 ニャン・フトゥーはミャンマーの施設で世話を受けながら徐々に回復していて、今後もそこにとどまることになる。彼は兄弟と自由に遊べるほど元気になり、新しい食物にも興味を示しはじめている。

「まさに国際的な取り組みでした」とベーコン氏は言う。「このまま順調に回復すると今は期待しています」

文=Elaina Zachos/訳=三枝小夜子