アライグマは何かと厄介な存在だが、カラスのように頭はよいのだろうか。(参考記事:「動物大図鑑 アライグマ」)
科学者らが、この愛嬌のある顔をした哺乳類で、イソップ寓話にヒントを得たテストを行った。水位を上げればエサが手に入るという因果関係を、動物が見抜けるかを調べるというものだ。その成果は学術誌「Animal Cognition」の11月号に発表された。(参考記事:「【動画】カラスはずるい人を1カ月以上忘れない」)
実験の元になっているのは、「喉が渇いたカラスが水差しを見つけたが、水が少ししか入っていないためくちばしが届かない。そこで石を落として水位を上げ、水を飲むことができた」という話だ。(参考記事:「カラスの高い知能、イソップ話は実話?」)
今回の研究では、飼育下のアライグマの前に、水が入った円筒形の容器を置いた。水面に細切れのマシュマロが浮いているが、水位が低いため手(前足)は届かない。続けて、水に石を落として水位を上げるとマシュマロが上がってくる様子を見せた。
8匹のアライグマのうちの2匹がこれをまねて石を落とし、マシュマロを手に入れることに成功した。3匹目は自分のやり方で問題を解決した。このメスは、容器のふちを揺すってひっくり返すという荒技を繰り出し、おやつにありついたのだ。
土台自体はひっくり返せないようにつくられていたものの、容器を倒せたのは「まったくの予想外」だったと話すのは、この研究のリーダーで、米ワイオミング大学の博士課程の学生のローレン・スタントン氏。
「アライグマがいかに革新的で独創的な問題解決能力を持つか、再確認しました」
カナダのトロントにあるヨーク大学の心理学者スーザン・マクドナルド氏も、「1匹が装置ごとひっくり返したというのは、いかにもアライグマらしいと思いました」と言う。アライグマがゴミ箱でよくやるようなことだからだ。(参考記事:「【動画】なぜか進んでバケツに入るアライグマ」)