世界初、浮く洋上風力発電所が営業開始、英国

風車5基で2万世帯分の電力を供給、スコットランド沖

2017.10.21
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 イザクセン氏によると、この浮体式洋上風力発電の構想は、2001年にエネルギー技術者たちが考えだしたものだ。2009年に1基のプロトタイプができ、2015年には、スコットランド政府が公式にスタトイル社に資金を提供し、現在北海に浮いている5基の風車の建設に着手した。

 各風車は、6メガワットの電力を電力網に供給できる。すなわち、プロジェクト全体では30メガワットだ。使われていない電力は、すべてリチウム電池に蓄えられる。この電池の容量はiPhone 200万台分以上だ。(参考記事:「画期的な蓄電池を開発、住宅用にも 米ハーバード大」

5基で約300億円、候補地には日本も

 地上に設置する風車とは違い、浮体式風車には地形に合わせた調整は不要だ。大量生産できれば、製造コストは安く済む。

 とはいえ、現時点での製造コストはまだ高い。

 スコットランドの5基の風車にかかった費用は2億英ポンド。日本円にすれば、約300億円だ。スタトイル社は、その多くをスコットランド自治政府の補助金に頼っている。

「スコットランドでは、政府が風力発電所の実現を後押ししています」とイザクセン氏。(参考記事:「IT長者らがクリーンエネルギー巨額支援、COP21」

 英国には、再生可能エネルギー指令という政策があり、2020年までに国の電力の30%を再生可能エネルギーでまかなわなければならない。スコットランド自治政府の報告書によると、すでに消費電力の半分以上は、再生可能エネルギーに由来するものになっている。(参考記事:「ドイツが挑むエネルギー革命」

 イザクセン氏は、慎重な口ぶりで、スタトイル社にとってこの5基の風車は効率改善に向けたパイロット・プロジェクトだと話す。さらに大きな12メガワットほどの出力を持つ風車も設計中ということだ。現在、世界一大きい風車でも、出力は9.5メガワットしかない。しかし、ここ数年で急速に大型化と効率化が進んでいる。

 イザクセン氏によると、現在のところ、スタトイル社には次の風力発電施設を建設する計画はない。しかし候補地として、日本や米国のハワイ、カリフォルニアなどを考えているという。

文=Sarah Gibbens/訳=鈴木和博

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