米国カリフォルニア州サンタバーバラの動物学習センターに子供たちを連れて行ったとき、クリスティーン・ヒルさんは、まさか大人のカメを連れて帰ることになるとは全く想像していなかった。
ところが、ヒルさんがケヅメリクガメを見に行くと、オス4匹の中で一番小さい「ラリー」が、ほかのオスたちから激しい攻撃を受けていた。オスたちは1匹のメスを奪い合っていたのだ。(参考記事:「驚くほどかわいい、カメの写真17点」)
ラリーがいじめられているところを目撃したヒルさんと子供たちは、飼育係に抗議した。しかし、飼育係は自然に任せるつもりだと語る。それでも、ヒルさんは引き下がらず、弱いものいじめをやめさせるために、ラリーを家に連れて帰りたいとセンターの責任者を説得した。
ヒルさんは熱心な動物愛好家を自称しており、カリフォルニア州パロスベルデスの自宅には、このように救出してきたさまざまな動物が飼われている。シーフードレストランからウナギやロブスターを買い取ったこともある。「今は約30の動物がいます」とヒルさんは話す。(参考記事:「犬は飼い主の言葉を理解している、脳研究で判明」)
「自宅に連れて帰ると、ラリーは自己防衛モードで、チャンスがあればフェンスの方へ逃げようとしました」
だが最終的に、ラリーは家の中に入った。そして、ゴールデンレトリバーの「クリケット」と出会った。
「ばかげていると思うでしょうが、まるでおしゃべりしているようでした」。ヒルさんはクリケットとラリーの出会いについてこのように振り返る。ヒルさんによれば、クリケットが隣に来て座り、ラリーはようやくくつろぐことができたという。(参考記事:「【動画】ネコの子守はなんとネズミ、 米の猫カフェ」)
「あの日以来、彼らは離れられない関係になりました」
クリケットとラリーは並んで食事して、台所で一緒に眠る。散歩も一緒だ。2016年の冬眠の時期には、ラリーは寝室にあるクリケットのベッドの下に潜り込もうとした。(参考記事:「ヒョウの子を育てるライオン、殺さないのは異例」)
ケヅメリクガメはサハラ砂漠の南の周辺部に生息しており、最長で70年ほど生きる。ヒルさんによれば、ラリーはカリフォルニア州南部の暑く乾燥した環境で元気に暮らしているという。
「彼は小さくて面白い男です。とても個性があります」とヒルさんは話す。「私たちが帰宅すると、クリケットと廊下をゆっくり歩き、迎えに来てくれます。ラリーとクリケットは唯一無二の親友です」(参考記事:「犬は人が思っているよりもずっと”人間らしい”」)
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