ネズミ退治にホームレスのネコを起用、米国

ワシントンDCの路地裏に新しく赴任した保安官は、ホームレスのネコだった

2017.10.04
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【動画】ニューヨーク市でネズミ狩りをするイヌたち。(解説は英語です)

イヌはチームで高速退治

 だが、農場よりも地ビール工場よりもネズミが多く発生するのは、ゴミバケツがひしめく路地裏である。だが、1匹のネコが1日でどれくらいのネズミを退治できるのかは不明だ。その点、イヌは効率的に狩りができるよう訓練することができる。そして、数匹がチームとなり、ネズミを隠れ場所から追い出して、捕まえたそばから息の根を止める。(参考記事:「【動画】リカオン、狩りに行くかどうかを「くしゃみ」で投票」

 ニューヨーク市では、テリアなどネズミ退治ができるイヌの飼い主が、ネズミ狩りクラブを結成して活動している。会員は約65人で、なかには遠くオハイオ州からも訓練や交流のためにやってくる会員もいるという。1回の狩りで、8匹のイヌが出動する。

「訓練されたイヌは、1分間で4~5匹のネズミを退治します」と、クラブの主催者リチャード・レイノルズ氏は言う。ゴミ箱に飛びかかってネズミを追い出す役、逃げ出したネズミを追いかける役などを専門に教え込んでいる。イヌはネズミの首を捕らえて、振り回しては放り投げ、次の獲物を狙うことを学ぶ。(参考記事:「犬は人に「戦略的なウソ」をつく、実験で証明」

 ネズミはほぼ即死し、被害に悩まされていた住人たちはイヌを温かく歓迎するという。「大きな成果を上げた時には、拍手喝采が起こることもあります」と、レイノルズ氏。

「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は、ネズミに対して残虐な行為だと非難しているが、レイノルズ氏は悪びれることなく笑いながら語った。「歪んだ血のスポーツだとPETAに言われ、私も全国ネットのテレビで同意すると答えたことがありますが、あんなこと言わなければよかったと思っています」。レイノルズ氏のグループは、市のネズミ対策プログラムと正式に連携しているわけではないが、市は協力的だという。市会議員のエリック・ウルリッチ氏は、ニューヨーク市への奉仕を称え、今年8月にイヌたちに表彰状を与えた。(参考記事:「ネズミと人間の付き合い、実は農耕以前からと判明」

 だが、グループは自分たちの力だけでネズミの数を減らせるとは思っていないという。ネズミは、食糧源を人間に頼っている。ネズミ戦争の行方は、最終的にはゴミへのアクセスをどれだけ制限できるかにかかっている。「市の目標は、ネズミの数を70%減らすことです。全てのネズミを駆除することは不可能です」と、レイノルズ氏は言う。

 だが、ネズミの出産数を抑えることなら可能かもしれない。ワシントンDCのネズミ対策プログラムは、ネズミに避妊薬を与える試みを行っている。ネズミ用のエサ場を設け、そこに甘い液体を置いてネズミに飲ませる。液体には、メスの卵巣の中にある卵胞を破壊し、さらにオスの精子生産を阻害する薬品が含まれている。ニューヨーク市も、これを試験中だ。

 広い地域では、避妊薬の方が天敵を放つよりも簡単で、罠や毒よりも人道的だ。もしこれが成功すれば、イヌやネコは失業ということになるかもしれない。(参考記事:「イヌやネコはなぜ死んだ飼い主を食べるのか」

【参考フォトギャラリー】世界の野生ネコ 16点

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