集団にはリーダーとフォロワーが

 ハバチの種類にもよるが、彼らは約1カ月を幼虫として過ごす。その後、地面に落ちてさなぎになり、ハチにしては腰がくびれていない寸胴形の成虫になる。それまで、幼いハバチは集団で生き延びる。

 集団行動は、捕食者を寄せ付けないために役立つだけではない。ハバチの幼虫が、一体となって移動する様子も目撃されている。小さな肢を同時に動かし、呼吸を合わせてゆっくりと前進するのだ。(参考記事:「群れが生み出す知能「群知能」」

 集団行動がハバチの生存確率をどう高めているのか、科学者たちは研究を重ねている。その結果分かったのは、生存の可能性が全員平等に高まるわけではないことだ。集団の中では自然にリーダーとフォロワーが発生する。例えば、Perga affinisというハバチの1種では、捕食者を避けたり餌に到達したりするのはリーダーがわずかに有利とのことだ。この研究結果は、学術誌「英国王立協会紀要B(Proceedings of the Royal Society B)」に2014年に発表されている。

 ハバチがどのように動きを合わせているのかは、あまり分かっていない。しかし米ウエスタン・カロライナ大学の研究によると、振動で合図を送り、コミュニケーションを取ることが可能だという。先に述べたPerga affinisは、夜は1匹ずつばらばらに餌を探していたが、木の幹を叩いて振動を送り合い、再びグループを作る。(参考記事:「金メダル級? マンタのシンクロナイズドスイミング」

 ポメランツ氏にとって、ハバチの集団に出会うのは熱帯雨林の驚くべき多様性の証というだけではない。ハバチは人が目にするよりもずっと多く、世界中に無数の種がいることの証でもある。

文=Sarah Gibbens/訳=高野夏美