マヤのピラミッドに科学のメス、謎を解明へ

50年ぶりの徹底調査、レーザースキャンで詳細な3Dデータ化も

2017.09.20
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最新技術で遺跡を調査

 かつて、チチェンイツァなどを訪れた考古学者や盗掘者は、遺跡を破壊して遺物を集め、持ち出した。しかし、構造物にほとんど影響を与えない最新技術を使えば、環境を乱すことなく遺物を見つけたり調査したりすることができる。そういった技術の大半は、ナショナル ジオグラフィックのエンジニアが開発または採用したものだ。

チチェン・イッツァの洞窟。天井から床近くまで伸びる石筍は、マヤの神話に登場する地底と天空をつなぐ木を思わせる。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)
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 今回のプロジェクトは数年にわたる大がかりなもので、特別に改良された地中レーダー(GPR)を使って隠された通路を探したり、内壁の向こう側を確認したりする予定だ。また、GPRなどの遠隔イメージング技術を使ってピラミッドなどの近辺にある地下通路や洞窟を探し出し、地図を作成する作業も予定されている。(参考記事:「ツタンカーメンの墓を再びレーダー調査」

 メキシコ南部の森の中には3000個ほどのセノーテが隠れていると考えられている。古代マヤ文明の手がかりが含まれているものも多い。厚い葉を貫通するために、レーザーで検出や測距を行うLIDAR(ライダー)装置や温度センサーをドローンに取り付け、セノーテを探そうという計画もある。

水中に隠された洞窟を探すため、ソナーを搭載したカヤックをセノーテに降ろす。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)
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 さらに、カヤックにソナーを積んでセノーテを探査し、地下水面が低いときに中に入れそうな洞窟や地下通路の入口を探す予定もある。遺跡の下の水の動きを記した地図ができれば、地下水路網を特定できるかもしれない。こういった地下水路網は、マヤの口伝には出てくるものの、その存在はまだ確認されてはいない。

 レーザースキャンと写真測量を活用すれば、3次元でピラミッドや洞窟の内部をきわめて正確かつ詳細に表現できるはずだ。(参考記事:「新たなピラミッド像を追って:3Dモデル生成、舞台裏の奮闘」

「最終的には、こういったイメージングツールから得たデータを組み合わせて、ミリ単位の“特製3Dマップ”を作れるはずです。地上も地下も含めた遺跡全体のものをね」。このデジタル保存プロジェクトを率いるエンジニアで、ナショナル ジオグラフィックのフェローでもあるコーリー・ジャスコルスキ氏はそう話す。

エル・カスティージョの内部。レーザースキャナーの光線が「チャクモール」と呼ばれる像を詳細に記録する。この石像は玉座の間と呼ばれる部屋を守るためのものかもしれない。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)
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 デ・アンダ氏は、それによって当時の文化や気候条件を詳しく把握できるようになると考える。南北アメリカでも特に重要な遺跡だと考えられているチチェンイツァのことを深く理解することにもつながるはずだ。

 ソナーによるスキャンが始まった最初の週には、いくつかの洞窟が見つかった。そのうち2つは水没していたが、水没していない洞窟の1つからは、石に刻まれた女性の小像が見つかった。また、ピラミッドの寺院室のGPRスキャン調査では、壁の向こう側や、有名な赤いジャガーの玉座の床下からも、「たくさんの異常」(ジャスコルスキ氏)が初期段階で見つかっている。(参考記事:「ツタンカーメンの墓に隠し部屋か」

エル・カスティージョでも特に有名な赤いジャガーの玉座をスキャンする様子。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)
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 ジャスコルスキ氏は、「その意味を解明するには、データ処理の結果を待たなければなりません」と話す。「しかし、この手法によってピラミッドの構造を確実に把握できるようになります。壁の中に隠されているものがあれば、それも見つけられるでしょう」

 このプロジェクトは、ナショナル ジオグラフィック協会の助成金を受けており、メキシコ国立人類学歴史研究所が統括している。

1秒間に2万回の計測を行うレーザースキャナーがデータを収集する。これによって、エル・カスティージョの精細なデジタルモデルを作ることができる。(PHOTOGRAPH BY CHRIS MILLBERN)
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【関連動画】ナショナル ジオグラフィック LIVE:ギレルモ・デ・アンダ氏
ナショナル ジオグラフィックのエマージング・エクスプローラーである水中考古学者ギレルモ・デ・アンダ氏が古代マヤの遺物を探してメキシコの水没したセノーテに向かう。(解説は英語です)

文=Tom Clynes/訳=鈴木和博

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