【動画】車をゆっくり飲み込む恐ろしい地滑り

「食い止めようがない力で流れています」と専門家、まるで溶岩のよう

2017.09.15
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 青海チベット高原では、以前にもサーモカルストが観測されている。2017年5月の科学誌「Scientific Reports」に発表された研究は、同地区の砂漠化が永久凍土の融解を加速させていると指摘した。

 しかし、永久凍土の融解が今回の地滑りの原因かどうかはわかっていない。例年よりも暖かい気候によって、凍結した土壌の表面が一時的に解けただけで、永久凍土全体としては、大きな変化はないかもしれない。科学者は、この動画だけでは原因を断定できないとしている。

 マッキノン氏も、動画には凍結した塊のようなものが流れ出していないので、この地域の永久凍土が融解しているかどうかはわからないと指摘する。

 動画を見たマッキノン氏とチベットの研究仲間は、地滑りが起こる前と後がもっとよくわかる衛星写真を探そうとしたが、地政学的緊張が高い地域なだけに、簡単に事は運ばない。たとえば、地元のチベット人が使う村の名前が、中国の衛星画像に表示されない場合がある。

 ガジー氏も、現地の土壌組成を調べてみない限り、地滑りが永久凍土の融解によるものだとは言えないとしている。また、2010年にガジー氏が公開したアラスカ州の永久凍土融解の動画とも異なる部分があることも付け加えた。

永久凍土の融解は世界各地で発生

 チベットの地滑りの原因はまだわからないが、永久凍土の融解は世界各地で起こっており、その影響が懸念されている。(参考記事:「地球の悲鳴 消えゆく永久凍土」

 ナショナル ジオグラフィックへのメールで、英サセックス大学の地理学教授トーマス・オペル氏は、シベリア北極圏で今回と似たような地滑りを目にしたと書いている。

「地球温暖化のせいで、多くの地域で季節ごとに融解する土壌の深さが増しています」

 温室効果ガスによって地球の気温が上がれば、温められた永久凍土が大量の炭素を排出し、気温はさらに上昇するとオペル氏はいう。(参考記事:「【動画】アラスカの湖からメタンの泡の悪循環

 マッキノン氏は動画のなかで、周囲の山肌に他にも地滑りの跡が残されていることに気付いた。つまり、ここで地滑りが起こったのはこれが初めてではないかもしれない。しかし、その起点を特定するには、さらなる調査が必要だ。(参考記事:「【解説】温暖化で生物は?人はどうなる?最新報告」

 ほとんどの場合、地滑りは最初のうちゆっくりと始まり、突然目に見えて大きく動き出す。

文=Sarah Gibbens/訳=ルーバー荒井ハンナ

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