魚も薬物依存症になると判明、治療法研究に期待

1週間で行動が変化、薬物をもっと放出させようと必死に

2017.08.30
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薬欲しさに群がる魚

 今回の研究では、水槽内のゼブラフィッシュがオピオイドを自己投与できる仕組みをつくって実験した。冒頭の動画のように、黄色い台に取り付けられたセンサーの上をゼブラフィッシュが泳ぐと、その動きが感知される。

 最初は、このセンサーが動きを感知すると、緑のライトを点滅しながらタンク内にエサを放出する装置が作動するようにした。ゼブラフィッシュは、台の上を泳げばエサが得られることを学習する。

 次に、エサをオピオイドに交換し、やはり魚の動きによって自動的に作動するようにした。1週間もしないうちに、水槽内の魚のふるまいは異常なものになり、薬物をもっと放出させようと必死で積極的に行動するようになった。(参考記事:「魚はウソをつけるし、見破りもする」

 さらにゼブラフィッシュは、薬物を得ることへの障害となりそうな条件を加えても、この薬物を追い求めた。研究者らは、水槽内に置いた黄色い台の位置を上げて、この部分の水深を浅くした。通常ゼブラフィッシュは浅瀬を嫌うため、ここを泳ぐことを避けるはずだが、その後もオピオイドの投与を増やそうと戻ってきた。また、この薬物が与えられないとストレスや不安の兆候を示した。

 最終的に、薬物を放出させていたゼブラフィッシュが、他の動物と同様の分子経路によって依存症になったことが確認された。科学者らは、このプロセスの研究が進み、この経路の働きやヒトにおける治療方法に関する知見が深まることを期待している。

「まったくの新薬を市場に出すには時間がかかります。数年がかりということもあります」とピーターソン氏は話す。「これに代わる有望な方法の一つは、既存薬の新たな用途を見つけることです。そうすることで、有効な治療法が医師や患者の手に渡るまでの時間を劇的に短縮することができるでしょう」

 この魚による実験が、そのような可能性のある薬剤をテストする科学者の役に立つかもしれない。(参考記事:「複数のウイルスに効く新薬開発」


【関連特集】2017年9月号 脳科学で克服する依存症

文=Heather Brady/訳=山内百合子

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