初の「系外衛星」を発見か、約4000光年先の惑星

大きさは海王星並み、10月にハッブル宇宙望遠鏡で確認予定

2017.08.02
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木星の近くにぶらさがっているような、太陽系最大の衛星ガニメデ。もしも確認されれば、新たな系外衛星は、ガニメデよりもはるかに大きいことになる。(Photograph by NASA, JPL, University of Arizona)
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 この研究者らが論文公開サイト「arXiv」で発表した論文は、木星に似た衛星系をもつ可能性が最も高い284の系外惑星に焦点を当てている。彼らは、これらの惑星の通過データを統計的に積み上げており、この集合的な信号に衛星が残した痕跡が見つかることを期待している。

 その惑星のいくつかは木星ほどの大きさだが、恒星からわずかしか離れていない。このようないわゆる「ホット・ジュピター」は、惑星系の外側の低温の領域で形成され、その後内側に移行していったと天文学者は考えている。だがこのとき、衛星はどうなるのか、という疑問が生じる。(参考記事:「太陽系外の巨大ミラー惑星、新手法で60個の候補」

「この研究者たちは、恒星からの距離が、太陽・木星間の距離よりずっと近い惑星を観察しています」と話すのは、ライデン天文台の天文学者マシュー・ケンワージー氏。「問題は、巨大ガス惑星の衛星は、移行の途中で失われるのか、という点です」。なお、ケンワージー氏は今回の研究には参加していない。

 最新のデータに基づけば、これらの系外惑星の多くに衛星はない。研究者らによると、研究対象の284の惑星のうち衛星をもつ可能性のあるものは、最大に見積もっても108以下である。これは、木星に似た惑星の多くが恒星の近くに移行する際に衛星を失うことを示している。(参考記事:「地球に「最も似ている」太陽系外惑星を発見」

ハッブル宇宙望遠鏡に期待

 しかし、にわか仕立ての衛星モデルを284個の惑星に適用した際、研究者らは「ケプラー1625b」と呼ばれる系外惑星からの注目すべき信号も明らかにした。データに見られる明るさの変化が、海王星サイズの天体が惑星の周囲を回っていることを示唆していたのだ。

 ある仮定の下では、最大で2万4000分の1の確率で、このゆらぎが“まぐれ当たり”である可能性がある。これは説得力があるように聞こえるかもしれないが、天体物理学の分野では、証拠として有効であるにすぎない。10月に予定されているハッブル宇宙望遠鏡を使った観測で、この衛星に関する主張の可否が決まるだろう。(参考記事:「ハッブル望遠鏡 50の傑作画像」

 共著者のティーチー氏は、自分がギャンブラーだとしたら、衛星が存在するほうにワイン1本なら喜んで賭けるが、車は賭けないと言う。しかし、ティーチー氏は自分でも認めるように、科学でギャンブルをしているわけではない。この話に関して連絡を取ったほかの天文学者も同様だ。

「もしこれが本当なら、素晴らしいことです」とケンワージー氏は話す。「しかし今のところは、この研究の著者もはっきりと言っているように、興味をそそるというだけであり、発見ではありません」

 太陽系外惑星の世界的権威であるマサチューセッツ工科大学(MIT)の惑星学者サラ・シーガー氏も同意見だ。

「論文のタイトルに『候補』の文字が含まれているときは、文字通り、候補でしかありません」とシーガー氏は述べている。「実際にそこに何かがあるのか、ハッブル宇宙望遠鏡の観測結果を大変楽しみにしています」(参考記事:「40光年先に地球似の惑星を発見、生命探しに最適」

文=Michael Greshko/訳=山内百合子

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