【解説】月に隠された大量の水の証拠、米研究

今回の研究は何がスゴイのか、将来どう役立つのか?

2017.07.26
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火山活動によって作られたガラス粒子が、月表面のどこに堆積しているかを示した地図。(ILLUSTRATION BY MILLIKEN LAB/BROWN UNIVERSITY)
火山活動によって作られたガラス粒子が、月表面のどこに堆積しているかを示した地図。(ILLUSTRATION BY MILLIKEN LAB/BROWN UNIVERSITY)
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今回の研究は何がスゴイ?

 これまで、月の表面に存在する水については調査がかなり行われてきたが、月の内部がどうなっているのかはよくわかっていなかった。これはひとつには、月のマントルから噴出された火山岩のサンプルを、ごくわずかしか入手できていないためだ。

 研究者らは今回、月の内部にある水の量をより具体的に知ることを目指した。彼らの研究は、衛星画像から火砕流の地図を作成することによってこの疑問の解決に取り組んだ、ほぼ初めての試みとなった。

水は実際にどのくらいある?

 今回の研究では、月の内部に水が豊富にあるらしいことが判明したが、残念ながらそれがどの程度の量なのかを確実に知ることは容易でない。

 2011年の研究では、火山活動でできたガラス粒子には、地球の火山岩の一種である玄武岩と同程度の水分が含まれていることがわかっている。また地球の奥深くには、地表にある海、湖、川をすべて合わせたよりも多くの水があると考えられている。

 今回の発見は、少なくとも月のマントルの一部には、地球のマントルと同程度の水がある可能性を示している。(参考記事:「月の誕生物語に三つの新説、ネイチャー誌」

今後の展開は?

 ガラス粒子は0.05%しか水を含んでいないが、その量は膨大なため、将来、月探査に行く人たちがこれを利用できる可能性は十分にある。月の極地にある凍った水は、月表面に散らばった水を含む火山岩よりもはるかに入手が困難だ。いつの日か、月を訪れる人たちは、水を持参するのではなく、岩からこの水を抽出できるようになるかもしれない。

 コラプリート氏は言う。「実際にこの発見はとても有用です。我々はいまや、こうした堆積物を将来的なリソースとして活用したり、この先行われる極地のリソースの研究と比較したりすることができるのですから」(参考記事:「民間月面探査レース、日本のHAKUTO含む5チームに」

文=Hannah Lang/訳=北村京子

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