フグ毒を持つ種も
コウガイビルは約100種が知られている。大きさは数センチ~30センチまでさまざまで、中には色や模様が美しいものもいるとドゥシー氏は言う。
コウガイビル属に関しては科学論文が数多く書かれてきたが、種の分類については曖昧な部分が多いとドゥシー氏は付け加えた。今回撮影されたコウガイビルの種を科学者が特定するには、DNAサンプルを採取する必要があるだろう。
一部のコウガイビルは侵略的外来種にもなっている。(参考記事:「地球からの警鐘 日本の侵略的外来種」)
米テキサスA&M大学の生物学者、メアリー・ウィクステン氏はEメールで取材に応じ、「ワタリコウガイビル(Bipalium kewense)は世界中に広がっており、鉢植え植物には付き物となっています」とコメントした。
ワタリコウガイビルは「カタツムリほか、ミミズや小さな生物を食べますが、何より、予期せず遭遇したガーデニング愛好家をぎょっとさせます」とウィクステン氏。(参考記事:「【動画】カタツムリの行動を支配するゾンビ寄生虫」)
ワタリコウガイビルを含め、なかにはフグと同じ毒テトロドトキシンを持っているものがおり、捕食者に害をなすこともある。はっきり分類されていない種が多いため、見つけても手で触れないよう専門家は注意を促している。(参考記事:「椎名誠の奇鬼驚嘆痛快話―毒話」)
将来はSF映画に?
ホーさんはナショナル ジオグラフィックへのメッセージの中で、「この生き物に目があるのかどうか気になります」と書いていた。ドゥシー氏によれば、コウガイビルは長い頭の外周に沿って目に似た器官を多く持っているが、その機能はほとんど分かっていないという。
「明るいか暗いかは感じ取っているかもしれませんが、像を結ぶことは全くできないのでは」とドゥシー氏は推測している。(参考記事:「不思議な目の進化」)
「地面を掘るには頭が軟らかすぎるため、コウガイビルはほかの動物が作った穴をすみかにします」とドゥシー氏は付け加えた。これもまた、SF的な生物らしい興味深い事実だ。
「スピルバーグに教えたくなりますよね?」