巨大氷山が分離、ナショジオの地図で見る南極の変化

ついにラーセンC棚氷からも、南極半島では過去20年で3度目

2017.07.20
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ラーセン棚氷のこれまでの変化

1990年版のナショナル ジオグラフィック世界地図より。当時はまだ棚氷の大部分が残っている。
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 1995年1月、最も北にあるラーセンA棚氷が、嵐によって約2000平方キロの氷を失い、その南で巨大な氷山が棚氷から分離した。ナショナル ジオグラフィックの世界地図は、1999年版でラーセン棚氷に関する記述を加え、その消失が加速していることに初めて言及した。

 2002年、そこから南に下ったラーセンBの大部分が、わずか1カ月の間に分離して崩壊。約3200平方キロの面積が失われた。

 科学者は、どちらの氷山分離も温暖な夏が続いたことが原因であると考えている。特に2002年の夏は異常な暖かさだった。そのために融解が急速に進んだことを、研究者たちが確認している。(参考記事:「南極の「緑化」の速さが3倍に、地球温暖化で」

 2005年版の世界地図には、ラーセンBの崩壊した部分が新しく描かれた。少なくとも1万年前に形成されたと考えられているラーセンBの残りも融解が進み、2020年までに完全に消失するとみられている。

2005年版のナショナル ジオグラフィック世界地図より。すでにラーセン棚氷の大部分が失われていた。
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 ラーセンCから新たに分離した重さ1兆トンの氷山は、細かく砕け、その一部はウェッデル海に数十年間は留まるものの、その他の部分は海流に乗って北へ移動すると思われる。流氷は、サウス・ジョージア島とサウス・サンドウィッチ諸島の西を通過して南アメリカ大陸へ向かうだろうと、スクリップス海洋学研究所の南極専門家ヘレン・アマンダ・フリッカー氏は米ワシントンポスト紙に語っている。

地図の更新

 2015年に発行された最新版の世界地図では、ラーセン棚氷の記述が増えて、ラーセンBに関する情報が書き加えられた。その崩壊は、異常に暖かい夏によるものであると説明されている。(参考記事:「温暖化で平均気温8℃上昇の予測、北極が熱帯に」

「これらの変化をとらえるのは難しいです」と、ナショナル ジオグラフィックの地図製作データベース責任者テッド・シックリーは話す。「環境の変化は加速しているように見えますが、同時に衛星画像やその他の技術の進歩により、こうした変化を以前よりも見つけやすくなり、地図にも反映しやすくなっているのも確かです」

 ラーセン棚氷の消失がここまで進むと、氷はより不安定になり、さらなる分離を助長する恐れがあると、科学者は懸念している。残された氷の厚さも、毎年1.8~2.7メートルずつ薄くなっている。

 NASAの気候科学者ギャビン・シュミット氏は、ラーセンCから分かれた氷山が完全に解ければ、海面は0.1ミリ上昇するだろうと、米国の気候調査機関クライメート・セントラルに語っている。(参考記事:「海面上昇は予想を上回るペース、NASA」

文=Hannah Lang/訳=ルーバー荒井ハンナ

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