ブツブツ恐怖症の原因に新説、トライポフォビア

小さな穴や斑点の集合体を人はなぜ怖がるのか

2017.07.18
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

恐怖というより嫌悪

 研究チームは自らの仮説を証明するため、複数のオンライングループからトライポフォビアを自称する300人を集め、トライポフォビアでないと申告する大学生300人と比較した。どちらのグループも16枚の画像を見せられた。8枚は病変部に見られる小さな穴の集合体で、残りの8枚はハスの花床やれんがに開けられた穴など、病気とは無関係の画像だ。

 その結果、どちらのグループも病変部の画像に嫌悪感を抱いていたが、人ではない画像に不快感を示したのはトライポフォビアのグループだけだった。具体的にどのような気分かを質問したところ、恐怖を感じたと答えた人より、肌がゾワゾワするような感覚と答えた人の方が多かった。このように恐怖(fear)というより嫌悪(aversion)を感じる人の方が圧倒的に多かったため、命を奪う動物への恐怖ではなく、病原体への嫌悪がトライポフォビアを引き起こしている可能性が高いと結論付けた。

 米フロリダ大学の精神医学の教授で、不安障害を専門とするキャロル・マシューズ氏は、進化の過程で獲得した危険なものへの嫌悪が恐怖症へと発展する理由を説明している。最も一般的な恐怖症はクモやヘビ、高所に対するものだが、これらの嫌悪が一種の防御として働いている可能性があるという。(参考記事:「好きで嫌いな地底世界」

「すべての恐怖症はある程度、進化による適応から生じているという話です。そのため、(トライポフォビアは)本物の恐怖症だと思われます」(参考記事:「不眠症は不眠恐怖症、寝てはいけない時間に眠る人々」

 ただし、「病院で治療を受ける必要があるようなものではありません」とマシューズ氏は言い添えている。

電話の呼び出し音から雲まで

 確かに、多くの恐怖症は防御の役割を果たしているのかもしれないが、人々の恐怖症の範囲はとどまるところを知らない。「恐怖症リスト」のサイトには、電話の呼び出し音から雲まで、多種多様な恐怖症がリストアップされている。トライポフォビアが本物の恐怖症でないという主張の根拠としてよく挙げられるのは、ネットでトライポフォビアが話題になるにつれ、小さな穴の集合体は不快だと考えるように多くの人が影響を受けたというものだ。

「トライポフォビアはおそらくずっと前から存在しました。インターネットのおかげで、容易に知識を得られるようになったため、人々がいろいろなことを知るようになったのでしょう」とマシューズ氏も話している。(参考記事:「女性の好みが男性器の進化に影響?」

 マシューズ氏は寄生虫や病気への恐怖という仮説は興味深いとしながらも、トライポフォビアの完全な解明にはほど遠いと付け加えた。

文=Sarah Gibbens/訳=米井香織

  • このエントリーをはてなブックマークに追加