7月初め、米アラスカ州南東部のヤクタトを走っていた車が、森から出てきたヒグマに突進してこられる事件が起きた。
場所は風の強い2車線の道路。前方に1頭のヒグマを見つけたドライバーは、速度を落としてヒグマを横断させた。ところがヒグマが森に入った後で、車がその場所にさしかかると、突如、クマが道に飛び出し、車に向かって突進してきた。(参考記事:「【動画】珍事!車に戻ったら中にクマが」)
この動画を撮影したのは、現地の宿泊施設ヤクタト・ロッジで釣りガイドをしているコーディ・クーナウ氏。クマがこれほど興奮したのは子グマがいたか食料があったからかもしれないと考えた同氏は、車をUターンさせて付近を探してみたが、路上には何も見あたらなかったと、動画の説明の中で述べている。
ヒグマに遭遇した後、クーナウ氏とドライバーの2人は近くにあるロッジに戻り、クマへの注意を呼びかけた。2人はこのクマが、別の車を追いかける様子も目撃していた。
なぜ突進してくるのか
米国立公園局によると、クマが突進するのは何かに脅威を感じたときだという。ただし、突進の大半は威嚇のためのブラフ、つまり、ヒグマは脅威に感じたものを全速力で追いかけるが、その直前まで来ると足を止めてしまうのだと、同局のウェブサイトに書かれている。本当に攻撃するのは、ごくまれだそうだ。
同局はクマと接する時の心得として、もしもクマに追いかけられたら、動かずに立っているように勧めている。そしてもしクマが攻撃してきたら、死んだふりをして、クマが興味を失って立ち去るまで音をたててはならない。クマに立ち向かうのは、執拗に攻撃してくる場合だけにしなさいということだ。(参考記事:「人を襲ったクマは殺されるべきか」)
クマが人を襲撃した極めて珍しい例として、2015年8月、米イエローストーン国立公園でヒグマの亜種であるハイイログマ(グリズリー)がハイカーを殺した事件がある。国立公園局の調べによると、クマに危害を加えられる確率は同公園を訪れた270万人のうち1人という。(参考記事:「イエローストーン 自然保護の実験場」)