【動画】高貴な女性ミイラの顔を復元、驚異の技術

1600年前の南米モチェ文化の女性統治者か、科学捜査と3D技術を駆使

2017.07.06
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
貴族の女性セニョーラ・デ・カオのミイラは、豊富な副葬品とともに20層もの布にくるまれていた。金色の顔をつないだこのネックレスもその1つ。(PHOTOGRAPH BY IRA BLOCK, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
[画像のクリックで拡大表示]

 コンピューター上で顔が肉付けされると、頭部全体が3Dプリンターで出力され、次いで博物館に展示する模型がFRPで製作された。しかし、この模型はマネキン同様にまっさらで、さらなる疑問を呼んだ。セニョーラの目の色は? 眉やまつ毛はどんな風だったのか? 肌の色の濃さは? 生前の姿にさらに近づけるには、高い身分にふさわしい衣服や装身具も必要だった。(参考記事:「写真で見る古代の文化と副葬品14選」

 歴史上の人物を博物館向けに再現する専門の彫刻家と共に、フェルナンデス・ロペス氏は、こうした細かい仕上げに当たった。「復元の最終段階を目にしたときは胸がいっぱいになりました」と同氏は話す。「まるでこの女性が生き返ったかのようで、独り言を言ったほどです。『セニョーラ、もう一度現れたんですね』と」(参考記事:「9500年前の奇妙な頭蓋骨、顔の復元に成功」

 エル・ブルホの博物館は現在、復元された顔を展示する特別ギャラリーを作っている。2017年8月末にオープンする予定で、このプロジェクトで使われた技術や、参考にした視覚資料の展示、そして、さまざまな対話型の解説を用意する。フェルナンデス・ロペス氏は、「幅広い年齢の人に、自分たちとセニョーラ・デ・カオを結び付ける、ユニークで記憶に残る体験をしてほしいと考えています」と話す。

 地元では、セニョーラはすでに地域の一員として迎えられ、市民の催しや学校の活動でよく取り上げられている。「ここの人々は彼女をとても誇りに思っています。先住民社会の文化的アイデンティティに関する議論に登場するほか、ペルー女性の象徴にもなっています」とフェルナンデス・ロペス氏。

 このプロジェクトはペルー北部の人々にとって、はるか昔の傑出した強い女性が、自分たちと全く同じ外見をしていた動かぬ証拠となった。「特に子どもたちにとって重要になるでしょう」と人類学者のベラーノ氏は言う。「彼女の目をのぞき込めば、同じ街に住む親類や、先祖の顔が思い浮かべられるはずです。それはミイラの顔では感じられないことなのです」

文=A. R. Williams/訳=高野夏美

  • このエントリーをはてなブックマークに追加