【動画】人も怖いがピューマも怖い、声で逃げ出す

ラジオの声で実験、仕留めたばかりの獲物を捨てて逃げるほど

2017.06.26
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 センサーに連動してカエルの鳴き声が流れるようにした別のグループに対する実験では、ピューマが逃げ出したのは1回だけだった。

 論文の執筆者の一人であるジャスティン・スミス氏は、「ラジオの討論番組を使ったのは、高い音質の声を聞かせたかったからです」と話す。ピューマに過度のストレスを与えないよう、1頭当たりの実験の数は最低限に限ったという。(参考記事:「黒いサーバルの撮影に成功、小型野生ネコ、ケニア」

「ピューマの反応の激しさには驚かされました。ピューマが人間と共存するにあたって、恐怖の感覚は重要であるということかもしれません」

 頻繁に人間の声を聞くピューマは、獲物を捨てて逃げることが多くなる。すると、狩りを頻繁に行って多くの獲物を捕まえなければならなくなる。そうなれば、子どもを育てるために必要な力を使い果たしてしまうこともあるかもしれない。

「カリフォルニアのピューマに関して最も心配なのは、食事の機会が失われることです」とスミス氏は話す。「これは、子育てが成功するかどうかにも影響するかもしれません」(参考記事:「【動画】絶滅寸前のアムールヒョウ、貴重な母子の姿」

カリフォルニアのピューマを守るために

 通常、ピューマが繁殖を行うのは人里から離れた場所だ。しかし、狩りを行うときは、危険を冒して人間がいる場所の近くにやってくることもある。

 論文の執筆者の一人であるクリス・ウィルマース氏は、ピューマの新しい環境への適応力は高いものの、生息地の減少や断片化が進んでいるため、それも限界かもしれないという。

 ピューマは、カナダからチリ南端に至るまで、広く分布している。それぞれの個体がそこまで移動することはないが、獲物を求めて動き回ることは多い。都市近郊に生息するピューマは8キロ四方ほどの範囲しか移動しないが、元来の自然に暮らすピューマは30キロ四方以上の範囲を移動する。

 ウィルマース氏やスミス氏はあることを懸念している。人口の多いカリフォルニア沿岸地域に住むピューマたちは、他の場所に移動できないため、生存能力が低下しているのではないかということだ。

「ここでの問題は、開発によってピューマの生息地が完全に孤立してしまっていることです」とウィルマース氏は話す。「山を越えて遺伝子を交換することができないので、やがて孤立して絶滅してしまうでしょう」(参考記事:「絶滅危機のパンサー、交雑で回復傾向」

 全体としてみれば絶滅の危機には瀕していないものの、ピューマは米国東海岸では完全に姿を消している。ウィルマース氏によると、ピューマは人目を避ける動物であり、移動範囲も広いので、カリフォルニアにいるピューマの数を正確に把握するのは難しいという。

 ウィルマース氏もスミス氏も、すでに開発された地域で対応を考えるよりも、開発を始める前にピューマのことを考えるべきだと主張する。

 保護された生息地同士をつなぐ「野生の回廊」を設けるのも有効な保護策の一つだ。両氏とも、この案を強く推奨している。

「駐車場を動物の生息地に変えることよりも、動物の生息地を駐車場にさせない方が簡単です」とウィルマース氏は話す。「この問題には、今すぐ対処しなければなりません。何もしなければ、動物の生息地はなくなってしまうでしょう」(参考記事:「ナショジオだから撮れた!ビッグキャットたち」

文=Sarah Gibbens/訳=鈴木和博

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