死の熱波、2100年には人類の4分の3が脅威に直面

温室効果ガスを削減せずに放置した場合の最悪のシナリオ

2017.06.22
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南の途上国を襲う熱波

 ケラー教授によると、インド、パキスタンなどの途上国では、かつて暑さは大きな問題ではなかった。しかし、気候変動によってその深刻さは増しており、今では身近な問題となっている。(参考記事:「南極の「緑化」の速さが3倍に、地球温暖化で」

 近年のインドでは、数千人もの人々が熱波による犠牲になっている。学術誌「Science Advances」に掲載された別の論文によると、インドで100人以上が犠牲になった熱波の数は、1960年から2009年の間で2.5倍に増加した。この論文の共著者であるカリフォルニア大学アーバイン校のスティーブン・デービス教授は、気候変動の影響である可能性が高いとしている。

 とはいえ、インドの平均気温はここ50年間で0.5℃しか上昇していない。世界の他の地域と比べれば、ゆるやかな上昇だ。

 地表の気温の計測からわかっているのは、地球の温度は産業革命前から1℃上昇していることだ。しかし、地球全体の気温が同じように上がっているわけではない。北極の気温は、平均2.5℃上昇している。米国本土よりも広い北極海の大半で、2016年11月の気温は通常よりなんと20℃も高かった。(参考記事:「気候変動 瀬戸際の地球 薄氷の北極海へ」

 熱帯地方では、平均気温が少し上昇しただけでも大きな影響を受けることになる。デービス教授は、特に影響を受けやすいのは、貧困に苦しむ人々だとしており、「シカゴの人々は暑さを避けることができるが、インドの貧しい人々はそういうわけにはいかない」と述べている。

 気温の調査から、米国の都市の92%で夏季の気温が1970年に比べて上昇していることがわかっている。米国の気候調査機関クライメート・セントラルがまとめたデータによると、最も大きな影響が現れているのは、テキサス州や、ロッキー山脈とシエラネバダ山脈に挟まれた地域にある都市だ。夏の平均気温は、ウィスコンシン州ミルウォーキーで1.34℃、テキサス州ダラスで1.6℃、ユタ州ソルトレークシティで2.1℃上昇している。(参考記事:「豪の猛暑、気候変動の前兆?」

 デービス教授は、「これが実際に起きている気候変動だ」という。死者を伴う熱波が年間60回発生しているのも、驚くには値しない。気温の上昇によって、住み慣れた土地を離れて移住する人々も増えている。

「我々は環境に対してあまりに無関心すぎるため、未来の選択肢を失いつつある」。ハワイ大学のモラ氏はそう書いている。「熱波に対する有効な選択肢はもう残されていない。すでに世界中でたくさんの人々が熱波によって命を落としている」(参考記事:「今そこにある地球温暖化」

文=Stephen Leahy/訳=鈴木和博

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