南太平洋の無人島にゴミ3800万個、日本からも

世界遺産のヘンダーソン島、世界各地のプラスチックゴミが漂着

2017.05.19
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「私たちは何をしているのか」

 オーストラリアにあるタスマニア大学の科学者ラバーズ氏と、論文の共著者である保全生物学者アレクサンダー・ボンド氏は、2015年にヘンダーソン島にやってきて、3カ月にわたってゴミの密集度の測定や回収を行った。回収した5万5000個におよぶゴミのうち、100個ほどは排出した国を特定できた。2人の分析によれば、ヘンダーソン島には約18トンのプラスチックが漂着しているという。プラスチックのゴミの密集度では、少なくとも現時点で世界一だ。

 米ジョージア大学で環境工学を教えるジェナ・ジャムベック教授は、世界規模で海洋ゴミの量を算出した最初の科学者の一人だ。そのジャムベック教授にとって、ヘンダーソン島のプラスチックの量は驚くべきことではなかった。教授の2015年の論文によると、海には毎年800万トンのゴミが流れ込んでいる。地球のすべての海岸線沿いに買い物袋大のゴミ袋を並べたとすれば、1フィート(約30センチ)あたり5つの袋を置けるほどの量だ。(参考記事:「海鳥の90%がプラスチックを誤飲、最新研究で判明」

【参考動画】絶滅が危惧される海鳥のヒナを保護し、海へ返す。(解説は英語です)

「いちばん驚いたのは、スペインのカナリア諸島で調査をしているときでした。波が押し寄せるたびに、小さなプラスチックのゴミが打ち上げられるのです」と教授は話す。「『私たちは何をしているのか』と衝撃を受けました。まるで海が私たちに向かってプラスチックのゴミを吐き出しているようでした。ヘンダーソン島の砂浜にいる方々がどれほど衝撃を受けたかは、想像に難くありません」(参考記事:「海洋ゴミ、最も効果的な対策は?」

 ヘンダーソン島での調査結果は、深海の海底や北極の海氷といった人が寄りつかない場所からもプラスチック片が見つかっている事象と一致する。まさにこれは憂慮すべき事態だ。

「人々は、無人の楽園だと思っていた場所にゴミがあることに驚きます。驚きが続くのは、それが私たちにとって受け入れがたいことだからでしょう」。2012年にナショナル ジオグラフィックの「原始の海」プロジェクトを率いて、ヘンダーソン島を含むピトケアン諸島に向かった海洋科学者のエンリック・サラ氏はそう話す。「もはや、孤島というものは存在しないのです。人間は海をプラスチックだらけにしてしまったのですから」(参考記事:「[原始の海2]はるかなる南ライン諸島」

文=Laura Parker/訳=鈴木和博

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