【解説】宇宙生命探査、次はこうなる

「系外惑星探し」から「惑星を詳しく知る」フェーズへ

2017.05.02
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ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したアルファ・ケンタウリAとアルファ・ケンタウリB。太陽系から最も近い三重連星ケンタウルス座アルファ星を構成している。第三の恒星プロキシマ・ケンタウリは、この2つに比べると非常に暗いが、地球から最も近い恒星だ。(PHOTOGRAPH BY ESA/HUBBLE & NASA)
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生命の兆候を読みとる

 これから生命の兆候を調べるなら、私たちの望遠鏡でよく見える程度に近いところにあり、主星(惑星系の中心にある恒星)の手前を横切る様子を地球から観測できるような位置関係にある惑星を選ばなければならない。このような位置にあれば、主星からの光が惑星の大気を通り抜けて地球に届くときに、惑星の大気の成分を調べることができるからだ。(参考記事:「太陽系外の岩石惑星に大気、初めて確認」

 NASAは、次の10年間に、トランジット系外惑星探索衛星(TESS)やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使って、こうした観測を行うことを計画している。計画が順調に進めば、TESSは、詳細な観測を行う価値のある惑星を多数発見し、JWSTは、その強力な目で遠く離れた惑星の大気を凝視し、生命が存在する証拠となる分子を探し出すだろう。(参考記事:「ここがすごい!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」

 会議では、米コーネル大学のリサ・カルテネガー氏らが、主星から近すぎも遠すぎもしない軌道を回る岩石惑星の大気中にメタンや酸素原子を含むガス(オゾンなど)が混ざっていれば、地球外生命の存在の予告になるだろうと提案した。もちろん、これだけでは決定的な証拠にならず、これらのガスを生物が作り出したことを証明する作業は困難を極めるだろう。

 また、地球外生命が未知の代謝を利用して、予想外の物質を大量に生成している可能性は大いにある。カルテネガー氏と同じコーネル大学のジャック・オマリー=ジェームズ氏は、昨年、プロキシマ・ケンタウリが主に紫外線を放射していることから、この星の惑星プロキシマbに生息する生物は、紫外線を利用して蛍光タンパク質を生成するよう進化したかもしれないと提案している。その場合 、地球上の望遠鏡は、蛍光信号を探さなければならないことになる。(参考記事:「太陽系から最も近い地球型惑星プロキシマb発見、過酷な環境」

 生命を検知することは、太陽系外惑星の専門家だけの課題ではなく、太陽系の氷の海で生命を探す科学者たちの課題でもある。「私たちが生命に関するデータを持っている惑星は、地球だけです。けれども第二のデータが手に入れば、すべての前提が変わってくるでしょう。私は、そうなることを期待しています」と、カルテネガー氏は語る。

 生命の兆候は、電波通信やパルス状のレーザー光線、高度な文明から出る廃熱、奇妙に点滅する星といった技術文明の兆候というかたちで現れることもあるだろう。高度な地球外文明の証拠を探す科学者は、予想外の奇妙なものに出会うことを覚悟しなければならない。地球外の知的生命を探査するSETI研究所のジル・ターター氏は、「私たちが、小さな緑色の宇宙人ではなく、小さな灰色の箱を見つけてしまう可能性を、本気で考える必要があります」と言う。(参考記事:「鳴沢真也 正しい宇宙人の探し方~SETIの話」

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