土星の衛星エンケラドスに生命はぐくむ素材

水素分子を確認、氷の下の海に熱水噴出孔の可能性高まる

2017.04.14
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華々しいフィナーレへ

 研究チームの地球化学モデルによると、海底の熱水噴出孔から出る二酸化炭素と水素を微生物が消費して、メタンを排出している可能性がある。このメタンをほかの微生物が食べて、エンケラドスの生態系を作っているのかもしれない。(参考記事:「マリアナに新たな熱水噴出孔と深海生態系を発見」

 とはいえ、このようなプロセスが考えられるというだけでは、水素を利用する生物が存在する証拠にはならない。

「今回明らかになったのは、エンケラドスには大量の水素があり、生命が利用できる化学エネルギーが十分にあるということです」とハンド氏。「生命が誕生したかどうかは、また別の問題です」

 ナショナル ジオグラフィック協会のエマージング・エクスプローラーで、米ハーバード大学の地球生物学者として地球の熱水噴出孔の研究を行うジェフリー・マーロー氏は、「エネルギーが大量にある必要はありません。重要なのは、エネルギー供給の速さを考えることです。エネルギーの供給の速さは、生命を維持するのに十分なのでしょうか?」とコメントする。

 こうした疑問に答えるためには、これから何年も待たなければならない。 カッシーニの観測装置には生命探査を行えるほどの感度がないうえ、13年にわたる土星探査により燃料が底を尽きかけていて、残された寿命はあとわずかなのだ。

 NASAはカッシーニのために劇的な「グランドフィナーレ」を用意している。土星と内側の環の間を22周させたあと、9月15日に土星に突入させるのだ。(参考記事:「土星探査機カッシーニ、最終ミッションを開始」

 1990年からカッシーニのミッションに従事してきたポルコ氏は、「太陽系探査における最も重要な瞬間の1つであり、私たちの研究にとっても人類の宇宙プログラムにとっても主要な業績になると考えています」と言う。「心から誇りに思います」

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