氷に覆われた土星の衛星エンケラドスの奥深くで、熱いものがうごめいているようだ。NASAの科学者たちは、そのエネルギーが地球外生命をはぐくんでいる可能性もあるとしている。
NASAの土星探査機カッシーニは、以前、エンケラドスから噴き上がるプルーム(水柱)の中を通り抜けてその成分の「味見」をし、塩類、単純な有機分子、アンモニアなど、生命の主要な構成要素が含まれていることを明らかにした。(参考記事:「土星探査機カッシーニ、エンケラドスの間欠泉に突入」)
米サウスウェスト研究所の科学者ハンター・ウェイト氏が率いる研究チームは、4月13日に開かれた記者会見で、2015年10月にカッシーニが接近通過(フライバイ)を行った際に、エンケラドスから噴き出すプルームに水素分子が含まれていることを確認できたと発表した。
この水素分子は、海底の岩石と熱水が反応して生じたものと考えられ、現在のエンケラドスに熱水噴出孔があり、その活動により生物にエネルギーを供給できることの証拠になる。
ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーである米ジェット推進研究所の宇宙生物学者ケビン・ハンド氏は、今回の研究には関与していないが、「エンケラドスに、生命をはぐくむことができる『海の世界』があることを証明するものです。非常に面白く、説得力のある研究だと思います」と賞賛する。(参考記事:「土星の衛星エンケラドスに生命の新たな可能性」)