【動画】微生物が放つ渾身の一撃、ガトリング砲も

プランクトンのミクロな戦いを高解像度カメラがとらえた

2017.04.10
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 研究者たちは当初、渦鞭毛虫の刺胞は、クラゲやイソギンチャクなどの刺胞動物の刺胞と遺伝的に似ているかもしれないと考えていた。刺胞動物と渦鞭毛虫は、10億年以上も前に共通祖先から分かれていて、系統樹上でも非常に遠く離れている。それでも、刺胞を持つとわかっている生物は、この2グループしかないからだ。(参考記事:「新説:動物の共通祖先はクシクラゲ?」

 しかし意外なことに、刺胞動物と渦鞭毛虫の刺胞は、遺伝子を共有しているわけではなく、収斂(しゅうれん)進化(全く系統の異なる生物が、似たような形質を独立に進化させること)の産物であることがわかった。実際、渦鞭毛虫の飛び道具のメカニズムは、刺胞動物のそれよりはるかに複雑だ。(参考記事:「収斂進化で鳴く能力失ったコオロギ」

微生物研究は役に立つ

 渦鞭毛虫の性質や行動は多様性に富んでいて、研究対象として非常に興味深い。この論文の上席著者である動物学者のブライアン・レアンダー氏は、「生物についてどんな法則を思いついても、渦鞭毛虫については例外が見つかるのです」と語る。渦鞭毛虫の新種は、毎月のように発見されている。

 発見の喜びは別として、レアンダー氏は微生物研究はさらなる影響力をもつと説明する。ポリクリコス属は有害な藻類の大繁殖(藻類ブルーム)を引き起こす微生物を食べることから、藻類ブルーム対策に役立つことが期待されている。また医療での応用も始まっていて、プランクトン由来の化合物を黒色腫の治療薬として利用する研究や、病んだ細胞に直接投薬するための注射針として渦鞭毛虫の針を利用するといった研究すら行われている。

 レアンダー氏は若手研究者の指導を大いに楽しんでいる。「科学者としてのキャリアを歩み始めたばかりの人々の目を通して生物多様性を探索できるという、大きな見返りがありますからね」と彼は言う。「それが本当に好きなのです」(参考記事:「写真賞2016 水中写真から初のグランプリ!」

文=Rachel Brown/訳=三枝小夜子

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