【動画】雲に11の「新種」を追加、国際雲図帳

スマートフォンなどの普及による影響も、30年ぶりの改定

2017.03.29
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荒れた海を下から眺めているような雲

アスペリタスが発見されたのは10年以上前だが、今回ようやく国際雲図帳に記載された。表面にゴルフクラブで芝を削り取った跡のようなくぼみが見られる点がこの雲の特徴だ。(PHOTOGRAPH BY ALAMY)
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 2017年は、国際雲図帳が完全にオンラインで提供される初めての年となるが、ハードカバーの書籍も今年中に出版される予定になっている。

 ラテン語で「荒々しさ」を意味する「アスペリタス(Asperitas)」という雲は、市民科学者たちから最も注目を集めていた雲だ。また「雲を愛でる会」にとっては、とりわけ大きな業績となった。同会がこの雲を認識したのは2006年。ある写真に写っている雲が、既存の分類では説明できないことに気づいたときだった。

 アスペリタスの特徴は、ゴルフクラブで芝を削り取った跡のような小さなくぼみが、空全体に無秩序な波模様を描いている点だ。「少しでこぼことして、まるで荒れた海を下から眺めているように見えました」。アスペリタスを新種に加えるよう10年近く提言を続けてきたプレイター=ピニー氏はそう語る。

 このほか、ケルビン・ヘルムホルツ雲(Kelvin-Helmoltz cloud)や穴あき雲(fallstreak hole)など、これまでは口語的な名称で呼ばれていた雲にも、それぞれ「フルクトゥス(Fluctus)」、「カウム(Cavum)」という新たなラテン語の名称が付けられた。(参考記事:「ホールパンチ雲(穴あき雲)に虹」

 国際雲図帳は1896年に最初につくられて以来、数十年間にわたり、雲の分類や写真の資料として、多くの気象学者によって活用されてきた。

沈む太陽の光に照らされ、不気味に浮かび上がる乳房雲。(PHOTOGRAPH BY PETER TSAI PHOTOGRAPHY, ALAMY)
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 英国王立気象学会が5月に発表する論文では、市民科学者によって撮影された写真を使ってアスペリタスの形成について考察されており、アスペリタスのような荒々しい雲が、どういった特徴を持つ気象パターンから生まれるのかを明らかにしているという。

 プレイター=ピニー氏は、雲に改めて注目が集まることで、慌ただしいデジタル時代を生きる人々が心静かに過ごすひとときを持てればうれしいと語った。「雲の命名に対して興味を持つことで、理解や知識や関心がさらに深まり、それが我々と地球の大気、また我々とこの世界とを結びつけてくれるのです」

湿気を含み、重く垂れ下がる雲。米コロラド州スティームボートスプリングス付近。(PHOTOGRAPH BY DAVID R. FRAZIER PHOTOLIBRARY, ALAMY)
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文=Sarah Gibbens/訳=北村京子

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