人工衛星が地球を最初に撮影し始めたとき、上空から大きなスケールでとらえたその画像は、我々の大気に対する認識に革命を起こした。そして今、スマートフォンなどのパーソナルテクノロジーの登場が、見上げた空について新たな見地をもたらそうとしている。(参考記事:「宇宙から見た地球と雲の最新鮮明画像9点」)
そうしたパーソナルテクノロジーの普及をきっかけとして、世界気象機関(WMO)が雲の分類の国際基準である「国際雲図帳」に、新たに11の分類をラテン語で加えることになったのだ。
英国に拠点を置く雲の愛好家団体「雲を愛でる会(Cloud Appreciation Society)」の設立者、ギャビン・プレイター=ピニー氏は、誰もが写真を撮影してシェアできる現在のような状況は、地球を取り巻く大気をみんなが共有して一緒に理解する感覚をもたらすと考えている。(参考記事:「「UFO雲」が出現、その正体は?」)
プレイター=ピニー氏はこう語る。「『雲にラテン語の名前を付けることに意味などあるのか』と思う人もいるでしょうが、雲の特徴的な形の名前を学ぶことは、空をよりよく理解することにつながります。そうした行為は、このデジタル社会におけるプレッシャーを軽くしてくれます。空を見上げているとき、人は地上のことを忘れられるので」(参考記事:「「虹の雲」が英国上空に出現、オゾン層を破壊」)
今回の分類の追加は、国際雲図帳にとって30年ぶりの改定となる。変更点の大半は、国際雲図帳のサイトに写真をアップロードし、雲に関する議論を重ねている市民科学者の力によるところが大きい。(参考記事:「市民科学の始まり、1833年の流星雨」)