【解説】地球に似た7惑星を発見、生命に理想的

太陽系から近いことが地球外生命の研究を前進させる

2017.02.23
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【動画】太陽系からわずか39光年の距離にある低温の小さな恒星トラピスト1の周りに、7つの太陽系外惑星が見つかった。この惑星系をめぐる驚くべき事実とは?(解説は英語です)

生命の痕跡を見つけるには

 科学者たちが特に関心を寄せているのは、主星から5番目に近い軌道を回るトラピスト1fで、生命が栄えるのに理想的な場所かもしれないと言われている。けれども喜ぶのはまだ早い。それにはいくつか理由がある。

 第一に、この惑星系は、規模の上でも構造の上でも、木星とガリレオ衛星と呼ばれる4つの大きな衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)の系によく似ている。ガリレオ衛星は、いずれも常に同じ面を木星に向けてその周りを回っているので、トラピスト1の惑星も同様である可能性が高い。つまり、片方の半球は常に温められていて、他方の半球は永遠に極寒の夜空の下にあるようなのだ。

 論文共著者であるベルギー、リエージュ大学のミカエル・ギヨン氏は、主星に対して常に同じ面を向けていても、惑星に大気があれば生命が進化できないわけではないが、いくらか不利になると言う。

 また、7つの惑星と主星はいずれも非常に近接しているため、軌道を巡る際に、重力により内部が変形して加熱される。これは木星のガリレオ衛星でも観測されている現象で、潮汐加熱と呼ばれている。木星の衛星エウロパの氷の下に広大な海があるのも、太陽系内で最も激しい火山活動がイオで起きているのも、潮汐加熱のせいなのだ。(参考記事:「木星の衛星エウロパ、水噴出の可能性高まる」

 だから、トラピスト1の温暖な惑星のいくつかは、「居住可能という言葉からイメージされるような穏やかな海辺というよりは、内部から噴き上がってくる溶岩により2000年ごとに表面が完全に新しくなるイオに似ているかもしれません」とワイス氏。

 惑星の表面温度は恒星からの距離だけでなく、惑星自体の特徴、なかでも大気の特性に強く依存している。例えば、温室効果ガスが大量にある金星の表面温度は、太陽に近い水星よりもはるかに高くなっている。

 こうした課題はあるものの、科学者たちはトラピスト1惑星系で生命を探すことに熱意を燃やしている。現在、ハッブル宇宙望遠鏡が惑星の大気を調べているし、NASAのケプラー宇宙望遠鏡も2016年12月からトラピスト1を観測して、ほかにも惑星がないか探すと同時に、すでに見つかっている惑星についての詳細を探っている。(参考記事:「ハッブル望遠鏡 50の傑作画像」「NASAのケプラー衛星、複数の地球型惑星を発見」

 数年後にはジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が打ち上げられて、トラピスト1とその惑星をいちだんと詳しく観測できるようになるはずだ。(参考記事:「ここがすごい!ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」

 生命の兆候としてどんなものを探せばよいのか、考えるのは難しい。トラピスト1の赤外線を利用できるように進化した生命は、地球上の生命とは似ても似つかないと思われるからだ。大気中の1種類の特徴的な分子ではなく、さまざまな化合物の比率のわずかな変化をとらえることにより、生命の存在が浮かび上がってくるのかもしれない。

「生命の存在は、さまざまな分子の組み合わせによってはじめて明らかになります。酸素だけでは不十分です」とギヨン氏は言う。

 とはいえ、惑星の大気をしっかり観察することができれば、それだけでも大きな前進だ。天文学者たちが、地球でお馴染みの物質を検出する幸運に恵まれるチャンスは大いにある。(参考記事:「地球に「最も似ている」太陽系外惑星を発見」

 トリオー氏は語る。「惑星の上で生命が繁栄し、地球にあるのと同じような気体を放出していれば、私たちはそれに気づくことができるでしょう」

文=Nadia Drake/訳=三枝小夜子

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