【解説】地球に似た7惑星を発見、生命に理想的

太陽系から近いことが地球外生命の研究を前進させる

2017.02.23
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驚くべき発見が相次ぐトラピスト1惑星系

 トラピスト1という名前に聞き覚えがある人もいるだろう。科学者たちは近年、チリ、モロッコ、南アフリカなどにある望遠鏡を使ってトラピスト1とその惑星を観測していて、1年近く前から、この惑星系に関する驚くべき発見を相次いで報告しているからだ。

 2016年5月には、この星の周りに少なくとも3つの惑星があることが明らかになり、そのうちのいくつかは地球程度の大きさで生命が居住できるかもしれないとされた。さらに7月には、米マサチューセッツ工科大学のユリアン・デ・ウィット氏が、2つの惑星について詳細な観測結果を発表し、地球や金星のような密度の高い大気がある可能性を示した。(参考記事:「トラピスト1 太陽系外の岩石惑星に大気、初めて確認」

 今回、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡で20日にわたって惑星系を観測した科学者たちは、トラピスト1の周りにさらに多くの惑星を発見し、確認することができた。トラピスト1は、太陽の質量のおよそ8%、明るさは1000分の1程度しかないM型矮星で、銀河系ではよく見られるタイプの星だ。7つの姉妹惑星は、その弱々しい光の大部分を赤外線の形で浴びている。人間はこれを熱として感じることはできるが、目で見ることはできない。(参考記事:「スピッツァー望遠鏡 赤外線が明かす宇宙の謎」

 赤外線で観測を行うスピッツァー宇宙望遠鏡をトラピスト1に向けると、その明るさに1つのパターンが見えてきた。トラピスト1からの赤外線は、星の周りを回る惑星が手前を横切るたびに周期的に暗くなるため、明るさの減少は惑星の存在を示している。科学者たちは、この現象を利用して7つの惑星の存在を明らかにした。(参考記事:「系外惑星探査の大革命が進行中!」

 2016年に発表された地球サイズの惑星の数は3だったが、精査の結果、3つの「惑星」の1つが複数の惑星であることが判明した。

 最終的に、この星の光から7つの惑星を見つけ出すことができた。

 カナダ、モントリオール大学のローレン・ワイス氏は、「6つの惑星の存在はほぼ確実で、外側にある7つ目の惑星もおそらく本物でしょう」と言う。「トラピスト1がこれだけ多くの惑星をもつのなら、同じように多くの惑星をもつ小さな恒星がたくさんあるかもしれません」

 トラピスト1b、1c、・・・1hと名付けられた7つの惑星の1年の長さは、地球の時間で表すと1.5日~約20日である。7つの惑星の公転軌道は、太陽系における水星の軌道よりも小さく、大家族の子供たちのように重力で押し合いへし合いし、スピッツァー宇宙望遠鏡が観測するパターンにわずかな遅れや乱れ(摂動)を生じている。

トラピスト1の7つの惑星の軌道を、太陽系の惑星や木星のガリレオ衛星の軌道と比較した図。(ILLUSTRATION BY O. FURTAK, ESO)
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 科学者たちは、これらの摂動に基づいて、惑星のおおよその質量を推定することができた。それによると惑星は、大きさだけでなく質量も地球と同じくらいという。つまり、7姉妹は岩石惑星と考えられる。ただしワイス氏は、厚い大気に包まれた小さな天体である可能性もあると指摘する。

 トラピスト1hの軌道はよくわかっていないものの、トラピスト1e、1f、1gの3つの惑星は、まさにハビタブルゾーン(生命が生きられる領域)にあるようだ。残りの惑星も、内部構造と大気の条件によっては、生命が存在できるか、少なくとも、表面に水が溜まり、流れられるような温度になる可能性がある。

 地球に似た太陽系外惑星を探す科学者たちは、最近まで、太陽に似た星の周りを集中的に探っていた。けれども、今回のような発見は、小さくて暗い恒星の周りにも地球に似た惑星がある可能性を示している。

 オランダ、ライデン大学のイグナス・スネレン氏は、「研究チームは幸運だったのかもしれませんが、こんなに小さい恒星の周りに7つの地球サイズの惑星を発見できたということは、私たちの太陽系に4つの地球型惑星(水星、金星、地球、火星)があることは、特に珍しいことではないのかもしれません」とコメントしている。

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