【動画】脚を撃たれた子ゾウが奇跡の回復

「ゾウの孤児院」の9カ月にわたる懸命の治療で歩けるようになるまで

2017.02.14
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【動画】脚を撃たれた子ゾウが再び歩けるようになるまで

 脚を撃たれた幼いアフリカゾウが、9カ月におよぶ献身的な治療によって、歩く力を取り戻した。

 ある日、ケニアのツァボ・イースト国立公園で空から密猟パトロールをしていたパイロットが、群れから脱落しそうになっている子ゾウを発見した。子ゾウが負傷していることに気づいたパイロットはケニア野生動物保護局に無線で連絡、獣医師がヘリコプターで現場に駆けつけた。(参考記事:「【動画】水場にひっくり返ったゾウを救出」

 親を失った子ゾウの救助やリハビリを行っているデイビッド・シェルドリック・ワイルドライフ・トラストのCEO、アンジェラ・シェルドリック氏によると、ラガードと名づけられたこの子ゾウには2カ所の銃創があった。1カ所は右の後肢で、大腿骨が折れていた。もう1カ所は左の後肢の足の後ろだった。ライフルで撃たれたようだ。(参考記事:特集「みなしごゾウを育てる」

 それでも、ラガードは運が良かった。

「撃たれたのが前肢だったら、全く違った結果になっていたでしょう。ゾウの体重を支えるうえで、前肢ははるかに大きな役割を果たしているからです」とシェルドリック氏。

 ラガードを「ゾウの孤児院」に連れ帰ったチームは、傷の治療に取りかかった。X線写真を撮影すると、銃弾は残っていないことがわかった。そこで、治癒を促すためにグリーンクレイという天然物質を塗り、清潔にして、痛みを和らげるための薬を投与し、ラガードが欲しがるたびにミルクを混ぜた特製の餌を与えた。

「体が良くなってくると、脚にかかる体重を調節して、3本脚でうまく歩けるようになりました。孤児院のほかの子ゾウたちに遅れまいとして、なんでも一緒にやりたがりました」とシェルドリック氏。(参考記事:「足を失ったカメ、車輪を取り付けて歩行可能に」

 今、生後14カ月になったラガードは、力強い回復を見せ、再び4本脚で歩けるようになった。彼がナイロビの森でほかの子ゾウたちと歩き回っている姿は、心温まると同時に奇跡を見ているようだと、シェルドリック氏は言う。(参考記事:「【動画】前脚を失ったクマ、二足歩行で元気」

人間が農地を広げ、ゾウの生息域と衝突する

 ラガードは、最近できた農園の中を群れで移動していたときに撃たれたらしい。もともとは人間がほとんど住んでおらず、昔からゾウの移動ルートになっていた場所だ。ケニアでは近年、人間とゾウの衝突が大きな問題になっている。

 ラガードの予後は良さそうだ。彼は3歳になるまでゾウの孤児院で過ごし、その後は3つの野生復帰ユニットのいずれかに移される。野生復帰ユニットは、密猟や人間との衝突により親を失い、大怪我をした若いゾウのための特別な施設である。

 さらにラガードがおとなになったら、ケニア野生動物保護局とデイビッド・シェルドリック・ワイルドライフ・トラストの10の密猟対策チームに保護された1万1000頭以上のゾウが暮らすグレーター・ツァボ保全エリアに移ることになる。

 シェルドリック氏によると、ラガードの膝関節は石灰化により大きく膨らみ、終生、軽く足を引きずって歩くことになるだろうという。「自然の中で自力で暮らすには問題ない程度です。彼はきっと幸せに長生きするでしょう」(参考記事:「ゾウを殺してゾウを保護するという矛盾」

文=Alexandra Petri/訳=三枝小夜子

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