巨大な針が刺さったサメ、どうやって助ける?

フロリダのダイバーが直接外すも「親切だが不適切な行為」と専門家

2017.01.19
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エサを持ったダイバー(左下)に近寄ってくるレモンザメ。口に大きな釣り針が刺さっている。(PHOTOGRAPH BY CASSIE JENSEN)
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 シャーク・ダイビングはカリブ海で人気のアクティビティだ。水中に用意したエサに引き寄せられ、サメをはじめとする魚たちが集まってくる。

 米フロリダ州のあるグループは、定期的にこのダイビングを行っていた。サメたちを観察、記録し、彼らにしてみれば無害なこの生物との共存をはかるためだ。そんなとき、彼らの前に現れたのが、助けを必要としているサメだった。

 その日、ふたりのダイバーが目にしたのは、口に釣り針が刺さったレモンザメ。ひとりが写真を撮るあいだ、もうひとりがサメをおとなしくさせるために敏感な鼻をなでながら、慎重に針を外してやった。(参考記事:「巨大ザメに触れる衝撃写真に批判相次ぐ」

 フロリダ大学のサメ科学者、ジョージ・バージェス氏によると、これは「親切だが、不適切な行為」だという。

ダイビング・ツアーを運営するロジャー・ハディックス氏は、レモンザメを落ち着かせて釣り針を外そうと手を伸ばす。(PHOTOGRAPH BY CASSIE JENSEN)
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「噛みつかれる可能性が十分にあったというのが事実です。それに、サメはとても丈夫な生き物なので、口に釣り針が刺さったくらい大した問題ではないのです。時間がたてば錆びて自然に外れるので、サメにとって危険なものではありません」

 レモンザメは、米国東海岸沿いの大西洋に多く生息しており、単独または最大20匹ほどの群れで暮らす。名前の由来は、背中が黄色っぽくなっていることだ。写真を撮影したダイバー、キャシー・ジェンセン氏は、いつもレモンザメの群れと一緒に泳いでいると話す。

 通常ならジェンセン氏はサメに触れることはせず、ただ観察するだけだ。しかし、このときはサメを助けようと思った。「このあたりのダイバーたちは、サメのことを心から心配しています」

 しかし、バージェス氏は気をつけるべきだったと忠告する。「レモンザメは大きな口を持つ動物です。人に噛みつくこともあるのです」(参考記事:「釣られたサメが海水浴客にかみ付く」

 ジェンセン氏も、ダイバーがシャーク・ダイビングのコミュニティから非難されたことを認めている。ただし問題になったのは、釣り針を取ってやったことではなく、ダイバーのグローブの色だった。

ダイバーはレモンザメの口からうまく釣り針を外すことができた。しかし、サメの専門家によると、針は自然に抜け落ちるだろうと言う。(PHOTOGRAPH BY CASSIE JENSEN)
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 ダイバーが身につけているグローブとウェットスーツの色はコントラストが強い。サメに近づくダイバーはこうした色を避けるべきだ。カムフラージュ目的でコントラストの強いウロコをもつ魚も多いため、サメはそうした色に反応しやすい。

 ある最近の動画で、イタチザメがダイバーのすぐ近くに寄ってくる様子が撮影された。このサメの口にはかつて釣り針が刺さっていたが、自然に外れたことがわかっている。バージェス氏は、やがてこのようになるはずだと話す。

 サメに詳しい科学者たちが勧めるのは、今回のように簡単にサメに近づける場合、釣り針から垂れ下がっている糸を切ることだ。糸は海底に引っかかったりして、サメを不快にさせる可能性がある。(参考記事:「海のハンター イタチザメに会いたい」

【フォトギャラリー】恐ろしくも美しきサメ10選

文=Delaney Chambers/訳=鈴木和博

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