ドイツ、バイエルンのノイシュバンシュタイン城
雄大なドイツ・アルプスの麓の丘に、ヨーロッパで最も有名な城が立っている。バイエルン王国の「メルヘン王」とあだ名されたルートビッヒ2世が、プロイセン・オーストリア戦争で権威を失った後、公的生活を退いて隠遁するために建てさせたノイシュバンシュタイン城だ。王は、頭の中に自らが真の王となって治める理想の王国を思い描き、この新しい城をその中心地に据えようとしていたと考えられている(参考記事:「中国にディズニーランド似の廃墟 朽ちゆく夢の世界」)
1869年に建設が始まってから昼夜を問わず10年以上にわたって工事が進められ、城はようやく王が入居できるまでに仕上がった。元々の計画では部屋数が200室あったという壮大な城は、ルートビッヒ2世がたったひとりで住むために建設された。
ところが、王は1886年に新しい城に移り住んでからわずか数週間後に、近くのシュタルンベルク湖で死体となって発見された。一般的には自殺したと言われているが、暗殺されたという噂もある。(参考記事:「バンパイアと人間、伝説誕生の経緯を検証する」)
王の謎の死から7週間後、ノイシュバンシュタイン城は一般公開された。それ以来ドイツで最も観光客が多く訪れる城となり、ヨーロッパを代表する観光名所になっている。
いかにもおとぎ話に出てきそうな造りと、城を取り巻く絵画のような風景から、ディズニーランドに建てられた眠れる森の美女の城のモデルとなり、1950年のディズニー映画「シンデレラ」の城のモデルにもなったと言われている。自分の世界に閉じこもり、不幸な最期を迎えた王だったが、彼の思い描いた世界は後の時代になって数多くのハッピーエンド・ストーリーに影響を与えることになった。(参考記事:「ディズニーランドの極秘の部屋を初公開!」)
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