しかし、この動画が他と違うのは、ヒョウの反応だ。「エジプトガンの行動にこれほど反応するのは、このくらいの年齢のヒョウにしては不可解です。退屈していて、何か刺激を求めていたかのようです」
そもそも、ヒョウがガンを相手にすること自体奇妙であると、ボイス氏は指摘する。ひながカラカルやリビアヤマネコ、サーバルといったほかのネコ科動物に捕食されることはあっても、ヒョウやライオンの標的になることはめったにない。(参考記事:「黒いサーバルの撮影に成功、小型野生ネコ、ケニア」)
水の上に移動、ヒョウが去るのを待つ
動画では、怪我を装ってヒョウの注意をそらすという親鳥の思惑は成功しなかった。ガンの親子は戦略を変更し、水に飛び込んでヒョウがいなくなるのを待つことにした。ヒョウは尾をピクピク動かしながらしばらく休んでいたが、やがて立ち上がると、その日ハイエナが捕らえた肉の残り香をかぎ始めた。
ヒョウが気を離したことに気づいた親鳥が、鳴き声を上げた。すると、隠れていた2羽のひなが姿を現した。泥の上を懸命に駆けてくると、水たまりに滑り込んで家族との再会を果たした。出し抜かれて興味を失ったヒョウは、先ほど木の陰に隠しておいたインパラの死骸がある方角へ立ち去った。
ひなたちが全員そろい、親鳥夫婦はほっとしていることだろう。とりあえず、ひなの安全は守られた。(参考記事:「【動画】76羽のひな育てるカモ、なぜこんなことに」)
ボイス氏は言う。「エジプトガンのつがいは死ぬまで一緒です。また、子育てにも熱心です」