新種サラマンダー3種見つかるも絶滅の危機

コイン大の両生類、野生下ではほぼ見つからず

2016.11.18
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マイニュート・サラマンダー属のサラマンダーは体が驚くほど小さく、きわめて珍しい。メキシコの硬貨ペソと一緒に写真に写るのは、成体と幼生(下)のThorius troglodytesで、今回新たに発見された3種の近縁種にあたる。(PHOTOGRAPH COURTESY JAMES HANKEN, HARVARD UNIVERSITY)
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 メキシコのオアハカ州で3種の新種サラマンダーが見つかった。いずれも、硬貨よりも小さな体をしているが、大きな問題に直面している。発見されたばかりだというのに、既に絶滅の危機に瀕しているというのだ。(参考記事:「サラマンダーを襲うアジア産の真菌」

 新しく見つかった3種は、両生類の中では世界で最も絶滅の恐れが高いとされるマイニュート・サラマンダー属(極小のサラマンダーの意。メキシココビトサンショウウオ属とも)に分類される。マイニュート・サラマンダー属の仲間は、かつて豊富に生息していたが、現在確認されている種は全て過去30年間で激減し、今では野生で生きた個体を見つけることは不可能に近い。(参考記事:「中国でレアなオオサンショウウオ、200歳は言い過ぎ」

オオサンショウウオの産卵を支援
2009年12月31日―希少な日本のオオサンショウウオ(ジャイアント・サラマンダー)が、治水ダムを遡上して上流で産卵するのを助ける新たな試み。

 そのため、オンライン学術誌「PeerJ」に11月15日付けで発表された今回の研究では、博物館に保存されていた35年以上前のサンプルにほぼ全て頼るしかなかった。

 これらのサラマンダーは数が少ないだけでなく、体がとても小さい。「骨はそれに輪をかけて小さく、ほとんど目では見えません」と、研究の共著者で米ハーバード大学のジェームス・ハンケン氏は言う。頭蓋骨はわずか4ミリしかない。「そこで、骨格を立体的に見ることのできる特殊なレントゲンを使うことにしました」

 ハンケン氏の研究チームは、新種をそれぞれパインドウェリング・マイニュート・サラマンダー(pine-dwelling minute salamander、学名Thorius pinicola)、ロングテイルド・マイニュート・サラマンダー(long-tailed minute salamander、学名Thorius longicaudus)、ヒロイック・マイニュート・サラマンダー(heroic minute salamander、学名Thorius tlaxiacus)と名付けた。

極小サイズでよく似た外見

 マイニュート・サラマンダー属は、メキシコ南部の主に標高の高い森林にのみ生息している。通常の両生類と異なり、陸上で産卵し、おたまじゃくしの段階を経ず、成体のミニチュア版の姿で卵から出てくる。脚がとても短く、長い尾を持ち、背中に赤い線が1本入っている。(参考記事:「他種の幼生に擬態、新種サンショウウオ」

 見た目はどの種もよく似ているが、それぞれわずかな違いがある。例えばヒロイック・マイニュート・サラマンダーは他の種と比べて大きく、体長約2.5センチまで成長する。また、長い楕円形の鼻孔を持っている。

ヒロイック・マイニュート・サラマンダー(Thorius tlaxiacus)は、地上で最も絶滅の恐れが高いサラマンダーの一種。(PHOTOGRAPH BY JAMES HANKEN)
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「まず見つけるのが困難な上、体が小さすぎて外見もよく似ており、研究もままなりません」と、米国自然史博物館の両生類専門家ロイ・マクダーミッド氏は言う。同氏は、この研究には参加していない。「調べるだけでも大変なのに、新種まで見つけるとは、素晴らしい功績だと思います」

生息数激減の背景に何が?

 メキシコのサラマンダーがなぜ姿を消しているのか、まだはっきりとは分かっていない。

「森林が全て伐採されれば、そこをすみかとする動物たちも当然ながら消滅してしまいます」と、ハンケン氏。「けれども今回のケースでは、森林は手つかずで残っているのにサラマンダーが全く見つからない場所もあるのです。私たちの知らぬ間に何かが起こっているようです」(参考記事:「中国でオオサンショウウオは「高級魚」」

 気候変動、大気汚染、感染症、そして全体的に生息地が縮小していることなど様々な原因が考えられる。

 今回の研究で、発見されず記載されていないままの種がまだ数多く残されていることを、ハンケン氏の研究チームは実感したという。「世界の生物多様性の大部分はまだ知られていないのです。今も未記載の種は数万、いや、数百万といるかもしれません」(参考記事:「メスしかいないサラマンダー、驚きの利点判明」

文=Mary Bates/訳=ルーバー荒井ハンナ

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