古代の鳥の新種を発見、北米最大級

同じグループでは最高レベルの保存状態、現代の鳥に近い飛翔能力も

2018.11.16
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 これまでに発見されたエナンティオルニス類は、大きさはカラスと同程度かそれよりも小さく、外見こそ現代の鳥に似ているものの、ほとんどはうまく飛ぶことができなかったとされている。しかし、ミラーキーには力強い羽ばたきに適した狭い叉骨や、飛翔に使う大きな胸の筋肉を支える竜骨突起など、現代の鳥と似た特徴が備わっている。ただ、ミラーキーの場合はこれらの特徴を現生鳥類とは別に進化させたと考えられる。(参考記事:「鳥の卵のカラフルさ、発祥は1.45億年前の恐竜」

 最も興味をそそられるのは、前腕の骨にはっきりとコブ(飛羽瘤)が認められることだろう。現生鳥類の場合、このコブに飛翔用の羽が靭帯でつなぎとめられている。

「現生鳥類に見られるこのコブは、飛翔用の羽を支え、強化するためにあります。ミラーキーも進化によって力強い羽ばたきが可能になり、空を飛ぶことができたと考えられます。おそらくは、長距離飛行も可能だったでしょう」(参考記事:「太古の鳥の肺が初めて見つかる、飛行進化のカギ」

多数の化石が眠る現場、保全が課題

 中国科学院古脊椎動物・古人類研究所に所属する鳥類化石の専門家アリダ・ベイルール氏は、他の白亜紀後期のエナンティオルニス類が全て骨の断片や一本の骨だけを基に記載されているのに対し、「これほど完全に近い標本が北米で見つかったというのは驚くべきことです」と語る。同氏は今回の研究には関わっていない。

【参考ギャラリー】決定版!奇跡の恐竜化石たち 写真23点
ドイツ、ベルリンにあるフンボルト博物館所蔵のティラノサウルス・レックスの頭骨。2010年に、米モンタナ州にある白亜紀後期のヘルクリーク累層で発見された全長約12メートルの化石は、発掘と復元に4年の歳月を要した。(PHOTOGRAPHY BY GERD LUDWIG)

 さらにベイルール氏は、「恐竜が絶滅する直前の鳥の進化について、未知だった部分を埋めてくれる非常に重要な標本」とも評した。今回の化石が見つかったユタ州のグランドステアケース・エスカランテは、多数の化石が発見されることから、1996年に国立モニュメントに指定されている。

 ところが残念なことに、今その化石発掘が危機にさらされようとしていると、アッターホルト氏は言う。トランプ政権が2017年に、この国立モニュメントの指定面積を7700平方キロから4000平方キロまで縮小させたのだ。

「この公園には、美しく重要な地質学的特徴がたくさんあり、値段をつけることのできない貴重な化石が眠っています。保護を受けなくなれば、化石は勝手に持ち去られたり、開発によって破壊されたりする恐れがあります」(参考記事:「装甲もつ恐竜の新種を発見、アジアの仲間に近縁」

 フィールド氏も同意する。「アッターホルト氏とその研究チームの成果は、この土地の重要性を示しています。近視眼的な経済利益や政治目的のために縮小するのは、とても残念です」

文=John Pickrell/訳=ルーバー荒井ハンナ

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