【動画】ウミガメをもてあそぶシャチ、なぜ?

口先で器用にウミガメをくるくる回転、遊んでいるのか訓練か

2018.09.21
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 メキシコ、ベラクルス大学の海洋科学漁業研究所の学生ハイメ・ボラニョス・ヒメネス氏は「(シャチは)体が大きく、力も強いため、獲物の肉と硬組織を難なく破壊し、のみ込んでしまいます」と説明する。

「海岸に打ち上げられたシャチの胃から、甲らを持つカメが出てきたこともあるため、全く問題なく食べられるのだと思います」

 こうした行動は以前にも確認されているが、極めて珍しい。シャチは普段からウミガメを食べるわけではないためだ。ただし、今後はこの能力がもっと役立つようになるかもしれないと、ダバロス氏は考えている。「海生爬虫類が新たな好物になったのかもしれません。ガラパゴス諸島には現在、たくさんの海生爬虫類がいるからです」

 ダバロス氏によれば、法的保護と飼育下繁殖のおかげで、ガラパゴス諸島の一部ではアオウミガメが増加しているという。しかし、世界的には、密猟、生息地の消失、海洋汚染といった人為的な要因が重なり、アオウミガメは個体数が激減し、絶滅の危機にさらされている。(参考記事:「水族館から大海原へ」

【参考ギャラリー】世界のウミガメ 写真14点(クリックでギャラリーページへ)
パプアニューギニアのキンベ湾で、ツバメウオやバラクーダの群れの間を悠然と泳ぐタイマイ。

獲物の捕り方、時間をかけて教える

 シャチはさまざまな手法を駆使し、獲物を捕まえる。狩りのテクニックは習得が難しく、年長者からの教えによって受け継がれている。(参考記事:「【動画】「手」つなぎ「名前」呼びあうオスイルカ」

 こうした知識の伝承はいわゆる「猿まね」よりはるかに洗練されている。シャチは年少者の教育に多大な時間と労力を費やす数少ない種の一つだ。

 このような教育はかつて人間だけの特徴と考えられていたが、チーターやミーアキャット、ハンドウイルカなど、数こそ少ないものの、多様な種で確認されている。(参考記事:「【動画】巣立った後も親のすねをかじるペンギン」

 シャチがほかの種をもてあそぶのが、狩りのスキルを磨くためか、ただ楽しむためか明確にはわかっていない。しかし、このような動画が謎の解明につながる可能性もある。

「シャチの行動はとても柔軟です」とボラニョス・ヒメネス氏は話す。「好奇心が強く、楽しむことが好きで、知性も高いため、さまざまな行動を取ります。今回、ダイバーが研究のためにその行動を記録することができた。そこに価値があるのです」

文=Annie Roth/訳=米井香織

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