【動画】団結してクラゲを食べるサンゴを発見

毒は大丈夫?サンゴ同士はどう連携する?謎が深まる

2018.08.03
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 運悪くすぐそばを通りかかったクラゲの傘を、まず数匹のポリプが小さな触手で捕らえる。すると、別のポリプが素早くクラゲの大きな腕を捕らえて先端を口に入れ、逃げられないようにする。それからさらに多くのポリプが、またときには別の群体も加わってクラゲの他の部分を捕らえ、ゆっくりとその体を引き裂いていく。(参考記事:「【動画】深海タコ、食べたクラゲの触手を武器に?」

 専門家は、複数のサンゴの群体が協力して獲物を捕らえるという点にとりわけ感心した。オランダ、ナチュラリス生物多様性センターの上級科学研究員バート・ホークシマ氏は、「ポリプ同士が連携している様子には驚かされました」と話す。同氏はこの研究には参加していない。

 群体が互いにコミュニケーションを取り合っているのか、それとも何の合図もなしに連携が起こるのかはわかっていない。(参考記事:「サンゴの「キス」を撮影、新開発の海底顕微鏡で」

エサをめぐる攻防

 また、クラゲの出す強力な毒にサンゴがどう対応しているのかも謎である。この種のクラゲは、人間にはかなり危険と考えられている。サンゴにはクラゲの毒に対する免疫があるのか、または何か毒に抵抗する手段を持っているのだろうか。バダラメンティ氏が言えるのは、食事中のサンゴは「とてもうれしそうに見えました」ということだけだ。(参考記事:「【動画】ウミガメの子、毒もつクラゲを食べる」

 論文の共著者で英スコットランドのエジンバラ大学教授J・マーレー・ロバーツ氏は、小さなサンゴが大きな生物を捕食できるという考えは「これまでの常識を覆すもの」と話す。「サンゴの採餌法について、これまで知られていたことを見直し、サンゴのポリプがいかに協力して大きな獲物を捕らえることができるか考えるきっかけになりました」

ギャラリー:世界水中写真コンテスト、多彩な受賞作13点(写真クリックでギャラリーページへ)
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「14ミリの超広角レンズのおかげで、大きさが際立つ効果が出ました」—ガブリエル・バラシュー氏(PHOTOGRAPH BY GABRIEL BARATHIEU, UPY 2017)

 オキクラゲは、普段は深い海にいるため、サンゴがその個体数を脅かすようなことはないだろうと、科学者は言う。しかし、オキクラゲや他の大型クラゲは、サンゴにとって大切なエサであると考えられる。他のサンゴと違い、この種のキサンゴは栄養源となる共生藻を持たないため、そばを通りかかる獲物を捕らえるしか食べる方法はない。

 海岸の近くでクラゲが大発生すれば、サンゴのエサも増えると、バダラメンティ氏は言う。おそらく、これがサンゴにとって主要な食物源なのかもしれない。「サンゴの群体は、大量のエサに大喜びすることでしょう」(参考記事:「【動画】深海2300mにサンゴの群体、まさかの発見」

 だが、この現象は季節的なものと思われ、これまで報告例がなかったのはそのためだろうとホークシマ氏は言う。「いったん意識するようになれば、もっと頻繁に目にするようになると思います」。ホークシマ氏は、もっと多くの生物学者が同じように予想もしていなかった自然界の現象に注意を払い、論文として発表するようになればと期待する。

 バダラメンティ氏も、今回の発見により、世界にはまだ学ぶことがたくさんあることを再認識させられたという。特に、海の中は謎で満ちている。「自然を観察する機会を持つようにすれば、自然は多くのことを教えてくれます」(参考記事:「深海でじっとしていると長生きに、最新研究」

文=Christie Wilcox/訳=ルーバー荒井ハンナ

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