【動画】豪快にクラゲにかぶりつくウミガメ(解説は英語です)

 ピリッと刺激的なごちそうが好きなのは、人間だけではないようだ。

 オーストラリアのサンゴ礁、グレート・バリア・リーフで、アオウミガメの子どもがクラゲを食べている動画が撮影された。世界には7種のウミガメが生息し、そのほとんどは雑食で、クラゲを含め何でも食べる。しかし、アオウミガメは成長するとほぼ草食に落ち着く。(参考記事:「動物大図鑑 アオウミガメ」

 動画のウミガメは、おそらく2~5歳の子どもと思われる。この時期はまだ成長段階にあり、何でも口にする。

「この動画で興味深いのは、ウミガメがクラゲの傘の部分ではなく触手を食べている点です。傘の方が、栄養があると思うのですが」と、ナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラーで、海洋生物学者のデビッド・グルーバー氏は言う。

 わざわざ触手の方を食べるとは、確かに変わっている。刺されると痛いので、人間ならできるだけ避けようとするはずだ。触手は何かに接触すると、銛のような構造になっている小さな刺胞が飛び出して毒を噴射し、相手を攻撃する。(参考記事:「【動画】深海タコ、食べたクラゲの触手を武器に?」

 しかし、爬虫類であるウミガメの体はうろこに覆われているため、刺されても大してダメージを負うことはない。唯一の弱点は目だが、動画のウミガメは瞼を閉じ、目を前足で覆って保護している。触手を飲み込んでも、特に体に害は出ていないようだと、グルーバー氏は言う。

 この若さで鋼のような胃を持つとは、頼もしい限りだ。アオウミガメの体重は320キロにも達し、野生では80年生きることもある。(参考記事:「カメはホントに長生きか?」

好物の海草が減っている?

 若いアオウミガメは、確かにクラゲも食べるのかもしれないが、いつも食べている海草が減っているため、しかたなく食料の質を落としているということも考えられると、グルーバー氏は言う。

 近年、グレート・バリア・リーフでは地球温暖化によって大規模なサンゴの白化現象が起きている。ウミガメはすべての種が絶滅危惧種に指定されているが、すみかの生態系にここまで劇的な変化があるとウミガメにも大きな打撃だろう。ほかにも、肉や卵をめあてに故意に殺されたり、ボートのプロペラに当たる、魚の網にかかるなどの事故で命を落とすことも多い。(参考記事:「グレート・バリア・リーフの93%でサンゴ礁白化」

 あわれアオウミガメのエサとなったクラゲだが、ちりぢりに引き裂かれていなければ、生きのび、失った触手も再び生えてくるかもしれない。

 動画の個体は、北極や北大西洋の冷たい海域にいるキタユウレイクラゲ(学名:Cyanea capillata)によく似ているが、ここがオーストラリアの海であることと、傘の下の部分に赤い縞模様が入っていることから、別の近縁種である可能性が高い。

 クラゲは小さな魚と共生していることが多い。この動画でクラゲと共生しているのはイボダイの仲間で、クラゲの食べ残しを食べ、その代わり敵からクラゲを保護する役割を担っている。(参考記事:「珍写真「クラゲに入った魚」が話題、専門家に聞いた」

文=Rachel Brown/訳=ルーバー荒井ハンナ