大麻栽培は「エコでオーガニック」志向へ、米国

急成長する大麻市場、肉や野菜と同様の商品性求めて

2017.06.23
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
土づくりの準備をする女性と、それを手伝う孫娘たち。一家は、大麻が合法化されているワシントン州で、大麻をベースとしたクリームや軟膏を製造している。(PHOTOGRAPH BY LYNN JOHNSON, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
[画像のクリックで拡大表示]

省エネ栽培の追求

 コロラド州とワシントン州の有権者が、2012年に嗜好目的の大麻合法化への道を切り開いて以来、生産者は高いエネルギー代を削減する画期的な方法はないかと模索してきた。2012年の調査で、屋内の医療用大麻栽培がカリフォルニア州の全エネルギー消費の約3%を占めていることがわかった。しかも、調査以来、栽培される土地は急速に拡大している。(参考記事:「違法薬物栽培、隠れたエネルギー問題」

 シオバン・デンジャー・ダーウィッシュ氏は、カリフォルニア州ハンボルト郡で15年以上大麻草を栽培している。夫婦で経営する農場は、2016年6月に商業用大麻草栽培の許可証を受けた。州で最初の公式な許可証である。

 ダーウィッシュ氏は、合成肥料や農薬を一切使わず、水の使用も厳しく監視しているという。

「持続可能性とは、運営管理に高い基準を定めることでもあると思っています。私たちは地域社会に対して、生まれたばかりの合法な大麻産業が社会の利益を損なう存在ではなく、貢献しているのだということを知ってもらうために努力しています」と、ダーウィッシュ氏は言う。

 大麻の合法化によって、ダーウィッシュ氏のような地方農家は、これまでのように山の中に隠れて大麻草を栽培する必要がなくなった。それが森林の断片化を防ぎ、最終的な製品への責任を明確にすることにもつながる。さらに、屋外で堂々と栽培すれば、照明の必要もなく、電気の使用を大幅に節約できる。

 エイミー・アンドレ氏のように屋内で栽培する生産者にとって、持続可能な生産にはより多くの機械が必要になり、経費も余計にかかる。アンドレ氏の施設では、技術の進歩に伴って1年から1年半ごとに空調設備を全て交換している。

 大麻草が発育段階にあるときにはLEDライトが使用されるが、つぼみが出てから収穫までの間は、まだ従来の照明を使わなければならない。しかし、施設内の最も広い部分をLEDライトに交換してから、70%のエネルギー代節約になったと、アンドレ氏は言う。

 アンドレ氏を含むデンバーの屋内生産者たちは、生産スペースを市から借り受けている。かつては捨てられ荒廃していた建物を再利用した結果、今ではビジネスが繁栄して周辺地域が活性化し、雇用が生まれている。絶えず行われている建物の改修費用は、テナントが負担している。

 アンドレ氏は言う。「大麻産業は、実質的には2009年にスタートしました。それ以前は、合法的な研究や技術革新が一切できなかったわけです。それがここまで来ることができたのは、人々がそれだけ熱意を持って働きかけていることのあかしです」(参考記事:「大麻ハウスが米国で注目、規制緩和受け」

文=Austa Somvichian-Clausen/訳=ルーバー荒井ハンナ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加