大麻栽培は「エコでオーガニック」志向へ、米国

急成長する大麻市場、肉や野菜と同様の商品性求めて

2017.06.23
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大麻の「オーガニック認証」めざす動き

 十分な検査がなければ品質管理も難しいが、今できることをやろうと動き始めている生産者もいる。

 エイミー・アンドレ氏は、コロラド州デンバーのダウンタウンで、夫のジョン氏と一緒に「レーグル・サービス」という大麻販売店を経営し、高品質の大麻製品を製造している。コロラドでは、スターバックスとマクドナルドの店舗を合わせた数よりも大麻販売店の方が多いという。

 アンドレ氏は、「オーガニック・カンナビス・アソシエーション」の創立メンバーでもあり(カンナビスは大麻の学名)、自分の店では本人曰く「100%クリーンなカンナビス」しか販売しないというこだわりを持っている。しかし、大麻草は連邦法では合法と認められていないため、米国農務省の公式な有機認証を受けることができない。鶏肉やトウモロコシと同等というわけにはいかないのだ。(参考記事:「トランプ政権で米国の医療大麻はどうなる?」

 そのため、消費者へ差別化をアピールするのが難しい。「大麻に関しては、全国共通の有機認証が今のところ存在しません」

【動画】大麻の新たな一面を撮り続ける写真家(解説は英語です)

 オーガニック・カンナビス・アソシエーションは、それを実現させる目的で設立された。

「大麻の有機認証を全国レベルで適用できるようにしたいと考えています。多くの州が、医療用の大麻草の栽培を合法化しようとしているというのに、いまだに有機栽培の基準と認証がないため、消費者も違いを知ることができないのです」

 アンドレ氏は、消費者の大麻購買行動を変えたいと願っている。まずは、大麻への認識を変え、過去の汚名を払拭することだ。そこで、オーガニック食品などを販売する高級スーパー「ホールフーズ」の顧客層をターゲットとする。

 肉や野菜を選ぶ感覚で人々が大麻を認識するようになればと、アンドレ氏は願っている。「食品にはそれぞれ、消費者が期待するうたい文句があるでしょう。魚であれば天然もの、野菜であれば無農薬、鶏肉であれば放し飼い、卵であれば放牧卵といった具合に。今のところ大麻にはそのようなうたい文句がありませんが、私たちはそれを作り出そうとしています。近い将来、買い物客は大麻にもそれを求めるようになると思います」(参考記事:「有機野菜はやはり「おいしくて健康的」、英米の研究で」

デンバーの東にある灌漑農場。ここでは、ヘンプと精神活性作用のない品種が生産されている。外部から見えないように、周囲にはトウモロコシが植えられている。(PHOTOGRAPH BY LYNN JOHNSON, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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 6月上旬、オーガニック・カンナビス・アソシエーションは同じ志を持った非営利団体エシカル・カンナビス・アライアンスと合併して、カンナビス・サーティフィケーション・カウンシル(CCC)を設立、独立機関として大麻製品へ「有機栽培」「公正な生産」の認証を与えることを目指す。

「今は、大麻産業が連邦政府の監視を受けないというまれな時期にあります」と、CCC代表に新しく就任したばかりのアシュリー・プリース氏は言う。「営利目的で基準を設けようとした団体は多いですが、どれも倫理的なやり方で行われていません」

 プリ―ス氏は、農務省とヨーロッパの有機基準を基にガイドラインを作成し、技術諮問機関のアドバイスを受けたいとしている。その後、全国的なパイロットプログラムを立ち上げる。

「生産者と加工業者は、倫理的な大麻生産を行わない競合製品との差別化を図ることができます。消費者も、自分の体に取り入れているものが安全でクリーンな製品で、地元の生産者を支えているのだと知り、安心して認証製品を購入することができます」と、プリ―ス氏は言う。

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