彗星の可能性も

 BZ509が恒星間天体だということにナムニ氏は自信を見せるが、彼もモライス氏も、別の惑星系からこの小惑星を捕らえるところをシミュレーションしたわけではない。この点の分析がないため、他の惑星科学の専門家たちは、研究の論法に強く異議を唱えている。(参考記事:「巨大惑星、惑星系からはじき飛ばされた」

 レビソン氏と同じサウスウエスト研究所のビル・ボトキ氏や同僚のデビッド・ネスボニー氏はむしろ、BZ509はオールトの雲(太陽系の周縁を取り囲む、氷微惑星などの領域)から来た、コマや尾がなくなった彗星ではないかと考えている。ずっと昔に逆向きの軌道に押し込まれた後、数百万年ほど前に今の軌道に入ったのではないかというのが、彼らの見方だ。(参考記事:「7万年前に恒星が最接近、地球に彗星の嵐か」

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探査機カッシーニが撮影した木星。(PHOTOGRAPH BY NASA, JPL, CASSINI)

 というのも、彗星は逆に公転することが確かにある。ハレー彗星もBZ509と同じく、太陽の周りを時計回りに回っている。しかも、予測しにくい天体はBZ509のような特定の軌道にはまり込みやすいことを、ナムニ氏とモライス氏の研究自体が示唆している。また、他の逆行小惑星がどのように今の場所に落ち着いたか、彗星説なら説明できることが、複数のモデルで示されている。

「探査機を送って調べたい」

 BZ509の起源を解明するには、膨大な研究が必要だろう。レビソン氏、ボトキ氏そしてネスボニー氏は、惑星が形成され、最終的に今の軌道に落ち着くまでの大規模なシミュレーションを行うことを勧めている。特に、太陽系の天体がBZ509のような軌道に入る頻度が、オウムアムアのような恒星間天体に比べて高いのか低いのか見るべきだという。

 今回の研究は、BZ509に似た天体は太陽系の公転面に対して垂直な軌道に流れ込みうることも示している。ナムニ氏は例えば、このような軌道を持つ既知の天体が、BZ509と同じように太陽系外に由来するのかどうか確かめたいと考えている。(参考記事:「新発見! 銀河系の外に、1兆個の惑星が存在か」

「理論的な関連ははっきりしていますが、私たちが目にしているものをBZ509と関連付けるとなると、もっと複雑です」とナムニ氏。

 コナーズ氏は、もし無限の予算を与えられたら、BZ509に探査機を送り、太陽系外から来たのかどうか、化学物質を調べたいという。またボトキ氏は、もしそんなミッションが実現したら、結果に関係なく価値があるだろうと話した。「もし探査機を送り込めるなら、普通の彗星でも素晴らしいことじゃないでしょうか」

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