ヘビの腹から出てきたヘビが新種に、珍しい特徴

生きている姿の目撃例はゼロ、「絶滅ではない」と研究者は推測

2018.12.21
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チュウベイサンゴヘビ(Micrurus nigrocinctus)。ほかの小さなヘビを食べることも多い。(PHOTOGRAPH BY MATTHIEU BERRONEAU)
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 これまで見たこともないようなヘビが見つかった。場所はメキシコ。だが、森を這っていたわけではない。なんと別のヘビの腹の中から見つかった。(参考記事:「車にひかれたヘビ、実は新種だった、キルギス高地」

 このヘビは、学術誌「Journal of Herpetology」に11月27日付けで発表された論文で、新種として記載され、Cenaspis aenigmaという学名を与えられた。ラテン語で「cena」は食事、「aspis」はヘビの一種、「enigma」は謎という意味なので、「謎の食事ヘビ」ということになる。

 新種のヘビには、頭骨の形や生殖器、尾の下の模様など、近縁のヘビたちとは異なる独特な特徴がある。

生きて見つかったことのないヘビ

 骨格と歯の特徴から、Cenaspisは穴に住み、昆虫やクモを食べるものと考えられている。ただし、この研究を率いた米テキサス大学アーリントン校の爬虫両生類学者ジョナサン・キャンベル氏によると、このヘビはこれまで生きた状態では見つかったことがないので、エサや生息場所を厳密に特定するのは難しい。

 探しても見つからない状況は、42年も続いている。1976年、メキシコ南部のチアパス州の深い森の中でヤシの実を収穫していた人々が、チュウベイサンゴヘビ(Micrurus nigrocinctus)を見つけた。神経毒をもつ鮮やかな色のヘビだ。研究者がこのヘビを調べたところ、腹の中から一回り小さい別のヘビが現れた。(参考記事:「毒ヘビの狩りは知能的、ムカデとトカゲで別の戦略」

新種のヘビCenaspis aenigmaのイラスト。学名は「謎の食事ヘビ」を意味する。(ILLUSTRATION BY GABRIEL UGUETO)
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 体長25センチほどのオスのヘビは、既知のどの種とも一致しない特殊なヘビだった。そのため、標本は博物館のコレクションとして保管されることになった。研究チームは、数十年にわたって合計10回以上は発見場所を訪れたが、いまだに生きたヘビは見つかっていない。

「これほど見つけにくいヘビもいるという証拠です」とキャンベル氏は言う。「もともと人目につきにくい習性であるうえ、狭い範囲にしか生息していないので、めったに姿を現すことがないのでしょう」(参考記事:「幻のヘビを64年ぶりに発見、世界一希少なボア」

 キャンベル氏は、このヘビが見つからないのは70年代以降に絶滅したためとは考えていない。今もチアパス州のどこかに生息しているが、穴の中で暮らしているなどの理由で見つけられないのだろうという。(参考記事:「絶滅したと思われていた毒ヘビ、10年ぶりに再発見」

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