氷の洞窟を抜けて、周囲の山々にスピンを披露したり、冒険好きの犬を従えて、崩れかけの氷河を駆け抜けたり。米国アラスカ州の氷原を舞台にしたバックカントリー・アイススケートにお決まりの方法はない。川や湖に張った天然の氷を見つければよいのだ。(参考記事:「水の上に立つ男、写真は合成?」)
映画制作者のケイル・グリーン氏とパクソン・ウォエルバー氏はバックカントリー・アイススケートの知名度を高めるため、冬のアラスカ南部を2年にわたって旅して回り、「Wild Ice(ワイルド・アイス)」という素晴らしいショートフィルムにまとめた。ジグザグ形のキーナイ湖、気軽にアクセスできるシェリダン氷河など、アラスカを代表する自然の驚異をドローンで空撮し、スケートを楽しむ人々と対比してみせた。(参考記事:「空から見た!北極圏と動物たちの絶景 動画と写真14点」)
「バックカントリー・アイススケートは夢のようなアクティビティーです。ガラスに閉じ込められた花畑のような場所を滑走したり、氷河の上や氷山の間を高速で走り抜けたりできるのですから。しかし、アラスカの人たちですら、このスポーツのことをほとんど知りません」とウォエルバー氏は話す。(参考記事:「氷河で75年前の遺体、アルプスの融解著しく」)
おそらく理由の一つは、シーズンが限られていることだろう。気温が下がり、ハイキングの季節が終わってから、雪が積もり、スキーの季節が始まるまでの間だ。しかし、ウォエルバー氏は、それも魅力の一つだと言う。「私を含む多くの人がこのシーズンに外へ出かける手段として、バックカントリー・アイススケートを始めました。そして、驚くほど楽しいこと、とてもいい運動になることに気づいたのです。何を発見するかわからない冒険、スピード、運動、壮大な風景を一度に体験できる最高のアクティビティーだと思います」(参考記事:「アイス・スケーター、スウェーデン」)
冬のアラスカで、バックカントリー・アイススケートを
バックカントリー・アイススケートに挑戦するときは、必ず地元の人々の指示に従おう。ノルディック・スケート・サウス・セントラルなどのグループが発信している情報を活用するといい。アラスカ・カヤック・アカデミーを運営するジム・ゴンスキー氏は次のように述べている。「ほぼ毎日、最新情報を確認しなければなりません。バックカントリー・スキーのようなものだと思えばよいでしょう。安全かどうかの判断基準は、直近の吹雪です。スケートにうってつけの日もあれば、雪崩の危険性が高い日もあります。10月下旬から11月が最適です。気温が低く、雪がなければ、何時間も最高の氷の上を滑ることができるでしょう。年単位、週単位で予測できるものではありません」。決して1人で冒険に出てはいけない。(参考記事:「ガラスのような氷山」)