ウクライナ正教会、ロシア正教会から独立へ

古来の儀式を守るウクライナ正教会の写真14点

2018.10.17
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 正教会の権威を巡って対立するロシアとウクライナというふたつの国は一方で、世界でも特に世俗化が進んだ国でもある。国家教会への帰属率は非常に高いものの(ロシアでは人口の71%、ウクライナでは77%)、積極的な宗教活動を行っている人の割合は極めて低い。

 米調査機関、ピュー・リサーチ・センターが行った2016年の世論調査では、宗教が「非常に重要」だと答えたのはロシア人のわずか15%、ウクライナ人の20%だった。毎週礼拝に出席しているのはロシア人の6%、ウクライナ人の12%で、毎日祈祷を行うのはロシア人の18%、ウクライナ人の28%に過ぎない。これとは対照的に、米国では人口の52%が宗教は非常に重要だと考え、31%が毎週教会に通い、57%が日々祈祷を行っている。

 つまり正教会への帰属率が高いことは、国民であることの象徴的な意味合いが強く、宗教的な信仰心とはほとんど関係がない。

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キエフ・ペチェールシク大修道院の創立は、一人の僧侶がある洞窟に居を構えた11世紀に遡る。現在は聖テオドシウス教会の一部となっているその洞窟では、午前1時から聖体礼儀が行われる。(PHOTOGRAPH BY BRENDAN HOFFMAN)

 世界的に見ても、東方正教会は信徒数の減少に悩まされてきた。1910年には、世界のキリスト教徒の20%は正教徒だったが、現在は12%だ。こうした背景の中で、モスクワの宗教当局者と、ウクライナとコンスタンチノープルの総主教庁との不和が、全面的な危機に発展したわけだ。

「教会法においては、コンスタンチノープルの総主教はウクライナに対する管轄権を有していません」と、ロシア正教会幹部であるウラジーミル・リゴイダ氏は言う。「バルトロメオは、1686年の協定は一時的なものであることを証明する歴史的な文書が存在すると言っています」。しかしそうした文書が作られたことはないとリゴイダ氏は主張し、300年以上続いた関係を終わらせるのは「とんでもないこと」だと述べている。

「それはいわば、アラスカの米国への売却ははるか昔に別の政権下で行われたのだから、アラスカは今もロシアのものだと、われわれが主張するようなものです」(アラスカ売買の交渉は1867年、当時の米国務長官ウィリアム・H・スワードによって行われた)

 ロシアの教会当局者は、モスクワ総主教庁はプーチンの手先であり、常に大統領の国内政策を支えているとたびたび非難されることに苛立っている。(参考記事:「ロシア プーチン世代の若者たち」

 リゴイダ氏は言う。「われわれはロシア国の教会でも、その他どの国の教会でもありません。われわれの総主教は16カ国の人々に心を配っています。それは主教座としての、また宗教指導者としてのわれわれの責任です」

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文=FRANK VIVIANO/写真=BRENDAN HOFFMAN/訳=北村京子

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