超巨大火山のマグマ、休眠から数十年で巨大噴火も

イエローストーンの調査で判明、予想以上に速く溜まる可能性

2017.10.16
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【動画】ボルケーノ101:火山は壮大であると同時に、危険な存在でもある。地球上では毎年、50以上の噴火が起きている。この動画では、火山がどのように形成されて噴火するか、どの地域に火山が集中しているかを紹介する。(解説は英語です)

 イエローストーン国立公園の美しい景観は、そのほとんどが過去の激しい地質活動によってつくられたものだ。有名なオールド・フェイスフル間欠泉やグランド・プリズマティック熱水泉は現在進行中の地熱活動がもたらした産物だが、その活動を引き起こしているのがマグマの上昇流だ。(参考記事:「イエローストーンの火山パワーは超巨大」

 約63万年前、スーパーボルケーノが噴火すると、膨大な量の溶岩と火山灰を吐き出し、イエローストーン・カルデラが形成された。イエローストーン・カルデラは直径65キロ弱のくぼ地で、その中に現在のイエローストーン国立公園の大部分がある。(参考記事:「イエローストーン 自然保護の実験場」

 シャムルー氏と同僚のクリスティー・ティル氏はこの噴火で出た火山灰の堆積物を分析し、8月に開催された火山学会で今回の研究結果を発表した。

 化石化した火山灰堆積物はこれまでも広く調べられており、このスーパーボルケーノは過去200万年ほどの間に、ほかに少なくとも2回、同等の超巨大噴火を起こしたと考えられている。幸い、南北アメリカ大陸に人類がやって来てからは、スーパーボルケーノはほぼ休止している。周期的に小規模な噴火や地震が起き、カルデラが溶岩や火山灰で満たされることはあるが、それでも最後に起きたのは約7万年前のことだ。(参考記事:「カルデラ形成の詳細な観測に成功、噴火予知に光」

 2011年には、マグマ溜まりを覆っている地面が約7年ごとに最大25センチ隆起していると報告された。イエローストーン国立公園の火山活動を研究するユタ大学のボブ・スミス氏は当時、「これは驚くべき隆起です。範囲がとても広く、そのスピードも異常な速さです」とナショナル ジオグラフィックに語っている。(参考記事:「米イエローストーンで地面が急激に隆起」

 スミス氏はさらに、隆起を引き起こしたマグマ溜まりはとても深い位置にあるため、すぐに壊滅的な噴火が起きる心配はないと続けている。むしろ、カルデラの穏やかな「呼吸」がスーパーボルケーノの挙動に関する貴重な洞察を与えてくれたと、スミス氏は感謝していた。

 2012年には、別の研究チームが、過去に起きた超巨大噴火の少なくとも1つは、実際には2度の噴火だったかもしれないと報告している。この研究結果は、大規模な噴火がそれまで考えられていたより頻繁に起きていた可能性を示唆するものだ。(参考記事:「イエローストーン、噴火頻発の可能性」

 ただし、休止状態にあるこのスーパーボルケーノを研究するほぼ全員が、次の大規模噴火がいつ起きるか知るすべはないと述べている。米地質調査所は毎年、大まかな予測を発表しており、それによれば、イエローストーン国立公園で再び超巨大噴火が起きる確率は73万分の1だという。これは壊滅的な小惑星の衝突が起きる確率とほぼ同じ数字だ。

文=Victoria Jaggard/訳=米井香織

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