中国でロバ皮ブーム、アフリカで密輸が急増

南アのロバ解体処理場を直撃、密輸業者には「おいしい商売」

2017.10.02
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ケニアの認可処理場で、ロバ皮の処理の準備をする作業員。ほかの国の処理場が閉鎖され、ロバ皮の需要が高まったことで、地下取引がさかんになっている。(PHOTOGRAPH BY TONY KARUMBA, AFP/GETTY)
[画像のクリックで拡大表示]

 ブルームフォンテーンの牧場の捜査は、点と点をつなぐ役に立った。乾燥アワビは中国では高級食材として1kgあたり200ドル(約2万2000円)以上の値がつくため、南アフリカでは違法経済の中核になっており、マネーロンダリングや薬物取引との関係も確認されている。

 警察がブルームフォンテーンで押収した乾燥アワビは20個程度で、南アフリカから違法に輸出される年間2000トン(約50万個)に比べれば微々たるものだ。けれどもこの発見により、ロバ皮が闇市場で取引され始めているのではないかという疑惑への確証が得られた。

 さらなる確証は2017年5月に得られた。ヨハネスブルク郊外の牧場から800頭分を超えるロバ皮が押収されたのだ。梱包されたロバ皮の間には7頭分のトラの皮も隠されていた。トラの皮は中国ではステータスシンボルとされている。動物虐待防止協会のグレース・ド・ランゲ氏は、「トラの皮はまだ血まみれで、数日前に処理されたばかりのようでした」と言う。南アフリカには野生のトラはいないが、数百頭が飼育されていて、その体の一部を取引することはほとんど規制されていない。(参考記事:「生きたロバをトラの餌に、動画が炎上、問題点は」

「ロバ皮は飛ぶように売れている」

 現在、南アフリカでは1年に最大7300頭分のロバ皮を合法的に輸出できる。食肉安全規則により、ロバはウマ用の認可処理場で解体処理しなければならない。現在南アフリカで操業している認可処理場は1カ所しかなく、ここで処理できるロバは1日20頭までだ(当局は最近、規則に従わなかったとして、ほかの2カ所の処理場を閉鎖した)。

ケニアの認可処理場でのロバ皮の日干し。木陰に1頭のロバがいる。南アフリカではロバ皮は地下で取引されることがほとんどで、野生動物の密輸商人がロバ皮を買い取って密輸出している。(PHOTOGRAPH BY TONY KARUMBA, AFP/GETTY)
[画像のクリックで拡大表示]

 それにもかかわらず、ヨハネスブルク警察の捜査により、アナティック・トレーディングという会社が2016年7月から12月までの6カ月間に、1万5000頭分を超えるロバ皮を輸出していたことが明らかになった。つまり、この1社だけで、南アフリカのロバ皮の合法的な年間取引量の上限を大幅に超えてしまったことになる。

 ケニアのある輸出業者が匿名で語ったところによると、中国人バイヤーは1頭分のロバ皮を48ドル(約5400円)で買うという。標準的なコンテナ1個分で約13万ドル(約1460万円)になる。

 6年前から中国に住んでロバ皮を扱っているコンゴ人の男性は、「2015年に私をこのビジネスに誘ってくれた中国人のパートナーは、ロバ皮は飛ぶように売れていると言っていました。ビジネスは非常にうまく行っています」と言う。

次ページ:おいしい商売

  • このエントリーをはてなブックマークに追加