中国でロバ皮ブーム、アフリカで密輸が急増

南アのロバ解体処理場を直撃、密輸業者には「おいしい商売」

2017.10.02
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中国の阿膠ブーム

 中国での阿膠の製造業者は東部の山東省に集中している。2500年前から変わらない製法に従いロバ皮から膠(ゼラチン)を抽出して作られるもので、年間のロバ皮の消費量は400万頭分にのぼる。阿膠は、伝統的に貧血などに効く強壮剤とされてきたが、1990年代から美容・健康食品として販売されるようになると、価格と売上高が跳ね上がった。今では、阿膠入りのフェイスクリーム、リキュール、菓子など、さまざまな商品が登場している。

アフリカの6カ国は、ロバ皮の国外流出を食い止めるために処理場を閉鎖した。しかし、その他の国々では、この写真のように大規模な操業を続けている。(PHOTOGRAPH BY TONY KARUMBA, AFP/GETTY)
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 その間に、中国のロバは1100万頭から600万頭未満まで減少した。ロバ不足を受け、阿膠の製造業者は海外から原料を輸入するようになった。

 ロバ皮の多くは安価に入手できる発展途上国から輸入されているが、ニジェールでは2012年に34ドル(約3800円)だったロバの平均価格が2016年には145ドル(約1万6000円)まで急騰した。ケニアでも、2017年2月から現在までに2倍以上の価格になっている。

 この突然の値上がりで、ロバを荷運びに使ったり食用にしたりしてきた農民はロバを買えなくなってしまった。また、輸出量の多さ(例えばニジェールでは昨年、9カ月間に8万頭分のロバ皮が輸出された)は、現地のロバが絶滅するのではないかという懸念を生んだ。(参考記事:「角の取引合法化でサイを絶滅から救えるか」

 そうした事態を回避するため、2016年からアフリカの6カ国の政府がロバ皮の輸出を禁止し、さらに6カ国がロバの処理場を閉鎖した。しかしながら、これらの対策ではロバ皮の流出をほとんど食い止めることができず、多くの取引を地下に潜らせてしまった。

 2017年、ロバ皮の密輸について報告した英国の動物愛護団体ドンキー・サンクチュアリのアレックス・マイヤーズ氏は、「どの国も、大量の密輸出を食い止めるには至っていません」と言う。「商人たちは、あらゆる巧妙な方法でロバ皮を調達しています」(参考記事:「ゾウの60%が消えたタンザニア、その原因は」

ロバの皮を持つ作業員。ケニアの認可処理場にて。アフリカでは近年、中国へのロバ皮の輸出が急増している。(PHOTOGRAPH BY TONY KARUMBA, AFP/GETTY)
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密輸商人の新たなターゲット

 ロバ皮の市場は野生動物の市場とは異なるが、その取り扱いとアジアへの輸出は、野生動物の密輸商人の得意分野だ。

「私たちは、野生動物に対する犯罪行為を注意して見張っています」とマイヤーズ氏は言う。「多くの噂がありますが、それらのつながりを証明するのは困難です」

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