第二次世界大戦中の空襲のエネルギーは宇宙にまで届いていた。(PHOTOGRAPHY BY US AIR FORCE, PUBLIC DOMAIN)
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 第二次世界大戦中、ヨーロッパ全域は空襲によって壊滅的な被害を受けた。新たな研究により、この爆発のエネルギーが驚くほど遠くにまで影響を与えていたことが明らかになった。(参考記事:「完全崩壊からほぼ忠実に蘇ったドレスデンの教会」

 9月26日付けの地球物理学の学術誌「Annales Geophysicae」に発表された論文で、第二次世界大戦中の空襲が地球の電離層に及ぼした影響が明らかにされた。電離層とは高度80kmから500km以上にも及ぶ大気の層で、太陽からの光や宇宙線を受けた原子や分子が電子を放出し、帯電(=電離)している。研究チームによると、1回の空襲のたびに落雷数百回分のエネルギーが放出された結果、電離層の最も外側のF2層の電子密度が低下していたという。国際宇宙ステーション(ISS)の高度は約400kmで、F2層に含まれる。

 空襲が電離層に及ぼした影響はそれほど大きくなく、数時間で解消した。だが、研究者チームが今回用いた新しいアプローチは、今後、科学者が大気モデルを改善し、通信やGPSを麻痺させかねない電離層の大規模な乱れをより正確に予想するのに役立つ可能性がある。

過去の空をどうやって見るのか

 電離層は、おもに太陽の活動によって常に揺らいでいる。太陽フレア、太陽風、磁気嵐などはいずれも電離層の電子密度を上げたり下げたりする。しかし、太陽だけではなく、雷雨や大地震も電離層に影響を及ぼすことがある。(参考記事:「3・11地震の振動、電離層まで到達」

 英レディング大学の宇宙科学者クリス・スコット氏は、電離層は「これまでの科学では十分に説明できないほど不安定」だと言う。(参考記事:「太陽嵐がもたらした強度「G4」の磁気嵐とは」

 さまざまな現象が電離層に及ぼす影響をよりよく理解するため、スコット氏と論文共著者のパトリック・メージャー氏は、落雷に匹敵するエネルギーをもつ爆発の例を探し、意外な場所でそれを見つけた。第二次世界大戦中の空襲の記録だ。

 研究者らはまず、連合国が1943~1945年にヨーロッパで実施した大規模な空襲のうち、使用された爆発物の種類と投下時刻が明記されている152の記録を用いて、空襲の分析を行った。続いて、これらの空襲を、英国スラウの電波研究観測所が収集した大気の観測データと比較した。(参考記事:「ベルリンで不発弾、さらに大量に残存」

 空襲が電離層に及ぼした影響を厳密に解き明かすのは困難だが、研究者らは、100~800トンの爆発物を使った空襲と、それから3~7時間後に発生した電離層の変化(揺らぎ)との間に有意な関連を見出した(ちなみに1トンのTNT火薬の爆発は、1度の落雷のエネルギーにほぼ等しい)。

【参考ギャラリー】息をのむほど美しいISSからの写真15選(写真クリックでギャラリーページへ)
宇宙から見たオーロラ
2016年1月20日、スコット・ケリー氏と欧州宇宙機関(ESA)のティム・ピーク飛行士が公開したオーロラの写真。地球の磁場・大気と高エネルギー粒子が反応して、光が舞っているように見える。(PHOTOGRAPH BY SCOTT KELLY, NASA)

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