実験に使われたカリフォルニア・ツースポットタコ(写真の個体は実験と無関係)は、エクスタシーを使った人間に近い反応を見せた。(PHOTOGRAPH BY DAVID LIITTSCHWAGER, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)
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タコに悪影響はないのか?

 海洋無脊椎動物にパーティードラッグを与えるのがいいことかどうか、という疑問も浮かぶ。何人かの生命倫理学者はナショナル ジオグラフィックに対し、対象の動物が人道的に扱われている限りは問題ないだろうとコメントしている。具体的には、ストレスの兆候がないか監視し、少しでもあればすぐに実験から外す、依存症になるほどの頻度で薬物を与えない、などだ。(参考記事:「ウナギ、コカイン中毒の可能性、研究」

「倫理上の大きな要請は、タコを痛みや苦悩の体験から守ることです」と話すのは、米ベイラー医科大学の医療倫理学者ジェニファー・ブルーメントール=バービー氏だ。

 エクスタシーは「気分を良くする」ドラッグとして知られていると、ブルーメントール=バービー氏は付け加える。「タコの行動からすると、人が摂取した時に近い体験をしたように見えます」

 米デポール大学の生命倫理学者、クレイグ・クルーグマン氏は、目的が重要だと考えている。「おそらく最も重要なこととして、研究には目標がなければなりません。獣医学または人間に対する医学に役立つ何かを生み出すという意図です」(参考記事:「記憶の書き換え、いつ実現? マウスでは成功」

 ドーレン氏によると、米国では、タコを使った実験には昆虫やミミズの場合と同じルールが適用されるという。一方、ヨーロッパの当局は12年前、頭足類を無脊椎動物の中では唯一、脊椎動物と同等に扱うべきものと定めた。

 ドーレン氏のラボでは今回、マウスの場合と同じガイドラインに従ってタコの実験を行ったという。氏は倫理上の問題が見られなかった主な根拠として、実験後に米マサチューセッツ州にあるウッズホール海洋研究所の水槽に戻されたタコが生殖を始めたことを挙げた。また、タコが墨を吐くのはストレスのサインだが、これも実験では一切見られなかったとドーレン氏は話した。(参考記事:「【動画】タコとカニの水中バトルが衝撃の結末に」

「タコは広く食用に供されていることも指摘すべきです」とドーレン氏は言う。「研究のためには、タコにとって最大限の負担をかけることもあると思いますが、それでも、食べられるときよりは丁寧に扱われるだろうと言えます」

【参考ギャラリー】変幻自在、不思議いっぱいの美しいタコたち 写真12点(写真クリックでギャラリーページへ)
タコは隠密行動と擬態の名人。わずか数秒で姿を隠す。(PHOTOGRAPH BY BRIAN J. SKERRY)

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