【動画】マグダラのマリアの顔を復元、真贋不明

科学捜査で使用される手法により、本人とされる頭蓋骨から復元に成功

2017.09.16
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 2人がこの頭蓋骨に関心を持ち始めたのは3年前の2014年。フローシュ氏がフランス南部で別の頭蓋骨の顔を復元していたときのことだ。フローシュ氏はサン・マクシマンの街に立ち寄り、バシリカの地下室で、装飾を施したガラスケースに納められた頭蓋骨を見た。

 頭蓋骨が最後に調査されたのは1974年で、それ以降、ガラスケースには鍵がかけられている。フローシュ氏とシャルリエ氏はガラス越しに、さまざまな角度から500枚以上の写真を撮影。これらの写真から、頭蓋骨の大きさや頬骨、骨の構造を反映した3Dモデルをつくった。

 そして、3Dモデルの情報から、50歳前後で亡くなった女性の頭蓋骨であること、地中海沿岸の人種であることを特定した。鼻の形をはじめとする顔の造作は頭蓋骨の年齢、性別、人種をもとに、三角比を用いて割り出した。

 頭蓋骨とともに発見された髪の毛の写真からは、女性の髪がダークブラウンだったらしいことがわかった。また、髪の毛には、歴史的にシラミよけとして使われていた粘土が付着していた。肌の色は、地中海沿岸に暮らす女性たちに一般的な色を採用した。体重や表情など、いくつかの特徴は、フローシュ氏とシャルリエ氏による独自の解釈が含まれている。

年代測定とDNA鑑定も

 フローシュ氏によれば、これらの手法は米連邦捜査局(FBI)が開発した科学捜査技術をもとにしたもので、犯罪捜査で一般的に用いられているものと同じだという。(参考記事:「真犯人を追う 科学捜査」

 シャルリエ氏は今後、頭蓋骨をガラスケースから出し、もっと詳しく調べたいと考えている。遺体の年代を特定できる放射性炭素年代測定などの手法は、頭蓋骨の一部を採取する必要があるが、カトリック教会は採取を認めていない。シャルリエ氏はさらに、いつか遺体のDNA鑑定を行い、出生地を特定したいとも考えている。(参考記事:「謎の人類ホモ・ナレディ、生きた年代が判明」

 シャルリエ氏とフローシュ氏は今回の研究について、カトリック教会とは無関係の学術的な研究だと断言している。ただし、復元した顔はすでに街の宗教指導者たちに見せ、喜んでもらったと述べている。

 復元した顔がマグダラのマリアのような有名人かもしれないことは「私たちにとって、とても感動的なことです」とフローシュ氏は話す。

 今はまだ顔を復元しただけだが、いずれ一緒に安置されている大腿骨と肋骨から全身を復元したいと、フローシュ氏とシャルリエ氏は意気込んでいる。(参考記事:「4千年前の「高貴な族長一家」、リアルに復元」

文=Sarah Gibbens/訳=米井香織

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