カマキリがよく襲う鳥は?
カマキリはほかにもさまざまな生き物を食べている。たとえば鳥だ。(参考記事:「花に擬態したカマキリの雌雄が似てない理由を解明」)
驚くことに、カマキリが鳥を食べる例は、南極を除くすべての大陸において確認されている。2017年に学術誌『The Wilson Journal of Ornithology』に発表された論文では、カマキリが鳥を食べたケースが、6つの大陸の13カ国から147例集められている。全部で12種のカマキリが24種の鳥を食べており、中でもいちばん多く獲物となっている鳥はハチドリだった。
多くの場合、カマキリはまず獲物の頭に穴を開け、その脳を食べている。(参考記事:「チンパンジーが好きな肉は脳? 初期人類も同様か」)
鳥を食べた報告例が多い種は、米国北東部に導入されているオオカマキリの仲間(学名Tenodera sinensis)だ。同地域で25件が報告されており、もっとも獲物にされやすいのはノドアカハチドリ(学名Archilochus colubris)だった。(参考記事:「世界最小の鳥、ハチドリの驚異の越冬術」)
一方、米国でもっとも広く分布しているのはウスバカマキリ(学名Mantis religiosa)で、カエルやトカゲ、ネズミ、小型のコウモリまで食べた例が報告されている。
カマキリが貪欲な捕食者であるのは確かだが、人間を傷つける力はあるのだろうか。
簡単に言えば、答えはノーだ。カマキリには毒もなければ、こちらを刺すこともできない。感染する病気を持っているわけでもない。また東アフリカには体長25センチほどまで成長するカマキリ(学名Leptocoloa phthisica)もいるが、それでもその口はたいした大きさにはならない。
つまりカマキリに指を噛まれたとしても、彼らの顎は人間に深刻なけがを負わせるほど強くないわけだ。
カマキリの耳と目
カマキリについてもうひとつ特筆すべき点は、コウモリが接近してくる音を感知できるということだ。カマキリは飛んでいる最中に、コウモリが狩りに使う超音波をとらえることができる。
カマキリは、胸の中央にある耳のような器官を使って、人間の可聴域をわずかに超える2万ヘルツ超の音をとらえている。コウモリが獲物に最接近したときに使うチッチッという連続音を察知すると、カマキリは飛行ルートを変え、捕まらないように螺旋状に急降下する。(参考記事:「【動画】コウモリはどうやって我が子を見つける?」)